企業が人工知能(AI)を職場に導入しても、必要な措置を取らなければ、そのメリットを十分に享受することはできない。さらに、従業員が来るべき事態に対応できる準備を整えられるように、それらの措置でどのような影響が発生するかについても考える必要がある。
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LinkedInが公開したレポート「Global Talent Trends」によれば、AIの急速な発展によって職場は加速度的に変化しており、2030年までには、世界中の仕事に必要とされるスキルの65%以上が変化するという。
LinkedInではすでに目立った変化が起きており、AIや生成AIに対する言及がある世界の求人情報の件数は、この2年間で2倍以上になっている。またこの調査では、アジア太平洋地域のプロフェッショナルの大半(インドネシアでは99%、インドでは98%、シンガポールでは97%、オーストラリアでは84%)が、仕事でのAI活用に期待を寄せていることも明らかになった。
LinkedInのアジア太平洋地域担当主席エコノミストであるChua Pei Ying氏は、新たに登場したAIの技術を使って生産性を高めるノウハウを知っている、優れた人材を見つけようとする企業が増えていると話す。同氏によれば、LinkedIn上では、生成AIや「GPT」に言及した投稿の数が過去1年間で33倍になっており、2022年11月以降では、GPTや「ChatGPT」に言及している求人情報が21倍になったという。
Chua氏は米ZDNETの取材に対して、AIは強力なツールであり、仕事のさまざまな面を大きく変え、生産性を高め、サービスを差別化してくれる可能性を秘めているため、これだけの注目を浴びていることもまったく不思議ではないと語った。例えばインドでは、70%近くのプロフェッショナルがAIは生産性の向上に役立つと考えており、さらに60%が、AIは今後1年間の企業の成長と収益機会を増大させると予想している。
生成AIは、電子メールの作成や、予算報告書の誤りを初期段階でチェックするといった作業を支援するなど、多くの人々の仕事のあり方を変えつつある。
Chua氏は、Microsoftが毎年発表している「Work Trend Index」の2023年版を基に、労働者の70%は、自分の仕事量を減らすために、できるだけ多くの仕事をAIに任せたがっていると述べた。また、回答者の約76%は管理業務にAIを利用することに抵抗がなく、73%は創造的な仕事についても同様の考えを示しているという。
さらに、回答者に対してAIによって実現できる可能性のあるメリットをいくつか挙げ、どのメリットに価値を感じるかを尋ねた質問では、「半分の時間で質の高い仕事ができる」を選んだ人が33%で最も多く、次に多かったのが「新しいスキルを2倍の速さで習得できる」(30%)だった。