人工知能(AI)は2023年にとりわけ大きく成長したテクノロジーだが、「スパイダーマン」で引用されて有名になった言葉のように、「大いなる力には、大いなる責任が伴う」。AIが成長を続ける中、さまざまな分野、組織、企業が、AIの開発と使用に関する規制の強化と透明性の向上を求めている。これに応えることを目標とし、このほどMeta PlatformsとIBMが連携を発表した。
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両社は、技術開発者、研究者、導入者の国際的なコミュニティーの一員として、他の50以上の組織とともに、オープンで責任あるAIを推進するための新たな団体「AI Alliance」を結成した。
Metaの国際問題担当プレジデントNick Clegg氏は、次のように述べた。「われわれは、AIの開発はオープンに行われる方が良いと考えている。そうすれば、より多くの人がその恩恵を享受し、革新的な製品を開発し、安全策に取り組める。AI Allianceは、研究者、開発者、企業を集め、モデルがオープンに共有されているかどうかに関わらず、ツールと知識を共有して、全員が進歩するのに役立てられるようにする」
AI Allianceは自らを、オープンイノベーション、倫理的実践、グローバルな包括性の原則を指針とした協働プラットフォームと位置づけている。多様な分野の専門家で構成されるメンバー主導のワーキンググループの設立を目指しており、セキュリティ、ソーシャルグッド、ガバナンス、オープンテクノロジーといったAI関連のトピックに注力する。
責任あるAIの発展を促すため、AI Allianceはベンチマーク、基準、ツール(安全、セキュリティ、信頼のためのツールを含む)を作成する計画だ。その計画には、気候変動など地球規模の問題や教育などの社会問題に対処するためにAIのエコシステムを強化することのほか、一般市民や政策立案者にAIのリスクとメリットを啓発することも含まれる。
このパートナーシップが目指すのは、部門の壁を越えて、業界、政府、研究機関、学界からの参加者を集め、安全なAIの開発に向けた統一的なアプローチを示すことだ。参加組織には、AMD、Intel、Red Hat、Hugging Face、Oracle、Dell、米航空宇宙局(NASA)、イェール大学、クリーブランドクリニック、ハーバード大学などが名を連ねている。
一方で、世界の生成AI開発における3大企業と目されるGoogle、Microsoft、OpenAIはAI Allianceに参加していない。これら3社はすでに、責任あるAI開発のためのさまざまな目標と、それを達成するための独自の取り組みを発表してきたが、両陣営の取り組みには大きな違いが少なくとも1つある。それは、AI AllianceはオープンソースのAI開発に注力するのに対し、Microsoft、Google、OpenAIはクローズドソースのAIモデルの利用を支持している点だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。