味の素は、パロアルトネットワークスのセキュリティサービス「Prisma Access」「Panorama」「Cortex Data Lake」を採用して、ゼロトラスト型のネットワークセキュリティ対策を構築し、適用範囲を拡大中だという。パロアルトネットワークスが2月1日に発表した。
味の素は、新型コロナウイルス感染症の対策で社員のリモートワーク化を図った際に、従来のネットワーク回線の帯域がひっ迫して遅延が発生し、業務に支障を来す問題に直面したという。また、5年ほど前からDX推進の一環でリモートワーク環境実現のためのネットワーク整備も進めていたとのことだ。
こうした中で同社は、クラウド利用の拡大により既存ネットワーク環境での遅延拡大と、従来の境界防御型セキュリティ対策によるサイバー脅威防御の困難さを懸念し、「ゼロトラスト」型のネットワークセキュリティ対策環境に刷新する判断をしたという。
この環境を実現するソリューションについては、2021年9月に製品サービスの選定を開始し、概念実証(PoC)を通じて要件に対する機能の確認と費用対効果の観点により、2022年8月にPrisma Accessの採用を決定、同年9月に開発・設定・テストを開始し、2023年3月から段階的に本番運用を行っている。導入と運用は、パートナー企業のNRIシステムテクノが担当している。
Prisma Accessは、場所を問わずユーザーおよびアプリケーションの保護するセキュリティサービスで、新手のサイバー脅威をリアルタイムに阻止する「ゼロトラストネットワークアクセス 2.0」やユーザー体験を実現するという。
この取り組みについて味の素 DX推進部 グローバルITサービスグループ マネージャーの小宮洋子氏は、報道発表の中で「ネットワークセキュリティを自社資産からクラウド利用に切り替えられたことによるアセットライト効果に加え、『セキュアで利便性が高いリモートアクセス』を実現できたことで、『ASV経営』(Ajinomoto Group Creating Shared Value:味の素グループの経営施策)の進化に貢献できたと感じている。ユーザーからも『クラウド利用の利便性が高まった』といった声が寄せられるなど、ユーザービリティーの観点からもPrisma Accessの導入効果を感じている。また、導入から現在まで大きなトラブルに見舞われることなく利用できているところに関して非常に満足している」とコメントした。
また、NRIシステムテクノ 基盤システム事業部 課長の神崎昭子氏は、「Prisma Accessを選定して良かったのは、開発・設定・テストの一連の作業がスムーズに進み、予定通りに導入できたこと。運用開始後も安定稼働し続けており、味の素グループが目指すゼロトラストネットワークの実現に一歩近づいたと考えている」と述べた。
2023年度内に味の素の国内グループ会社への展開が完了する予定。2024年度中には、タイの関連会社を皮切りに、フィリピンやインドネシアなどの東南アジアのグループ会社を中心に展開を進める計画となっている。