クラウドストレージサービスのWasabi Technologies Japanは、企業のクラウドストレージ利用動向を調べたレポート「2024年Global Cloud Storage Index」を発表した。日本企業ではクラウドストレージ費用の半分が、容量ではなくデータの運用に関するものになっている実態が分かった。
これによると、「2024年にパブリッククラウドに保存するデータ量が増加する」との回答は、日本では94%に上り、前年調査から10ポイント増加した。世界平均では93%だった。また、「クラウドストレージ予算を増加予定」としたのは、日本では93%、世界平均では90%だった。
クラウドストレージサービスの利用料金については、日本では費用の50%が「ストレージ容量」、50%(世界平均では47%、アジア太平洋地区の平均では48%)がストレージ内のデータの運用や検索、転送、分析といった「データ運用」だったという。
日本企業の回答者の55%は、「クラウドストレージへの支出予算が超過している」とし、Wasabiは、「その理由の1つが、データ運用料金の影響と推測される」と分析。予算超過の理由として、日本企業の回答者の55%が「APIコール料金の高さ」を挙げ、理由のトップだったとしている。
クラウドストレージサービスの利用に関連して、世界平均でもアジア太平洋地区でも回答者の99%が、「2024年にAI/ML(機械学習)ソリューションおよびサービスの導入を計画している/既に導入している」と答えたという。AI/ML導入の最優先事項には、「業務の改善と効率化」「製品のイノベーションと開発の加速」が挙がり、日本では「既存製品やサービスのイノベーションと開発サイクルの加速」と「顧客向け製品/サービスの改善」が挙がった。また、主な懸念事項について、グローバルでは「より幅広いロケーション(エッジ、コア、クラウドなど)でのデータ保管に新たな課題が生じる」、日本では「予測不能なストレージ料金(下り転送料やAPI利用料金など)」が挙げられたという。
クラウドのオブジェクトストレージに満足しているとの回答は、世界平均では90%、日本では80%だった。日本の方が低い理由は、上述の「予測不能なストレージ料金」に対する不満が考えられるとしている。
この調査は、Wasabiが企画して独立系市場調査会社のVanson Bourneが行った。従業員数100人以上の組織でパブリッククラウドストレージ導入に関与するIT関係の意思決定者を対象として、2023年11~12月に実施し、1200人以上から回答を得た。
同社は、「今回の調査では、日本でもAI/MLの導入が企業の最優先課題として挙げられ、AI/MLのアプリケーション実行に必要となる大量のデータの格納は、今後大きな課題となるはず。格納したデータの利用に課金しないWasabiのストレージには大きなアドバンテージがあり、この点をマーケットに訴えていきたい」と、同社サービスのアピールを交えてコメントしている。