明治、老朽化した基幹システムをクラウド移行--AWSジャパンが支援

寺島菜央 (編集部)

2024-03-18 07:30

 明治は3月14日、Amazon Web Services(AWS)が提供する「AWS Mainframe Modernization」を活用し、メインフレーム上のアプリケーションのモダナイズとAWSへの移行を開始したと発表した。同日に行われた記者説明会では、明治 デジタル推進本部の古賀猛文氏が、クラウド移行のプロジェクトを説明した。

左から明治​ デジタル推進本部 情報システム部 業務1グループ グループ長​の河合利英氏、明治 デジタル推進本部の古賀猛文氏、AWSジャパン サービス&テクノロジー事業統括本部 技術本部長の小林正人氏
左から明治​ デジタル推進本部 情報システム部 業務1グループ グループ長​の河合利英氏、明治 デジタル推進本部の古賀猛文氏、AWSジャパン サービス&テクノロジー事業統括本部 技術本部長の小林正人氏

 AWS Mainframe Modernizationは、企業のメインフレームアプリケーションを迅速かつ容易にクラウドへの移行を支援するサービス。2022年12月に東京リージョン、2023年12月に大阪リージョンでの一般提供を開始している。

 説明会に登壇したAWSジャパン サービス&テクノロジー事業統括本部 技術本部長の小林正人氏は、「さまざまなオンプレミスの資産をどのようにクラウドに移行するめどは立ってきたが、最後にメインフレームが移行できていないというお客さまからの相談が増えている」と、クラウド移行において企業が抱える課題を指摘した。

 レガシーなメインフレームでは、高い運用負荷やアジリティーの制約、イノベーションの難しさ、リスクのあるアプリケーションを抱えているなどの課題がある。これに対してAWS Mainframe Modernizationでは、「評価」「移行準備」「移行」の3フェーズでメインフレームの移行を支援する。

 評価では、現状を把握した上で移行戦略を策定し、適切なパターンや移行ソリューションを選定。移行準備では、評価で行った移行戦略やソリューションの選択が適切であるかどうかを実証し、移行に向けたプロジェクトを開始する。加えて、周辺の大まかな設定やクラウド人材の育成も行うという。準備を整えた上で、プロジェクトを実行し、移行したシステムの最適化と運用を続けていく。

AWS Mainframe Modernizationを活用したメインフレームの移行
AWS Mainframe Modernizationを活用したメインフレームの移行

 特に同サービスが技術的にカバーする移行戦略としては、「リファクタリング」と「リプラットフォーム」の2つがあるという。リファクタリングでは「Blu Age」を提供し、メインフレーム上で動くアプリケーションを自動で「Java」に変換する。またリプラットフォームでは、メインフレームで動くプログラムをそのままAWSクラウドのインフラストラクチャーやOSで動かす「Micro Focus」を提供する。

AWS Mainframe Modernizationが提供する機能群
AWS Mainframe Modernizationが提供する機能群

 明治ホールディングスは、2009年に明治製菓と明治乳業の経営統合によって設立された。食品事業を明治が担い、医薬品事業はMeiji Seika ファルマとKMバイオロジクスが担っている。

 明治は、社内の多くの領域でクラウドを活用したITシステムを運用しており、2024年1月には経済産業省が定める「DX認定事業所」の認定を取得している。育児応援サイト「ほほえみクラブ」で提供するオンラインビデオ通話での相談サービス「明治 つながる栄養士」など、AWSを基盤とした運用をしている。

 同社では30年以上にわたり業務システムなどの基幹システムをメインフレームで構築・運用してきた。2000年ごろにはメインフレームを中心とした業務アプリケーションの開発を進め、各業務領域での効率化を推進してきたという。同時にウェブアプリケーションの開発を進めていたが、多くがデータの基盤をメインフレームに置いていたため、メインフレームを中心に周辺システムをオープン系で作っていた。

 2009年には、同社は明治乳業と明治製菓が経営統合したため、2つの業務アプリケーションの整理と統合を図り、一部アプリケーションの刷新を目的にオープン化を推進。2020年から段階的にメインフレームからクラウドへ移行してきたが、業務アプリケーションの約14%がいまだにメインフレーム上で稼働しており、その運用に年間で数億円のコストが生じていたという。

 古賀氏は、メインフレームにおける課題として「『COBOL』などのレガシーなプログラミング言語を扱える人材の確保の難しさや、新しい技術を持った新入社員に改めてレガシーな言語の教育をしなければならず、即戦力で活躍できない弊害があった。また、30年以上に及ぶシステム構築の積み重ねによって、処理の複雑化やメインフレームとクラウドのシームレスなデータ連携が困難になっていた。これに伴う保守・運用のコストも増大している状況だった」と説明した。

 このような課題を対処すると同時に、2025年4月に控えたメインフレームのアウトソーシング契約の更新を前に、明治はシステム全体の刷新を含めた新たな方針を検討したという。

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