企業の経営幹部は、生成型の人工知能(AI)を積極的に利用したがっている。調査会社Logicalisが毎年公開している、今回で10回目になる調査レポート「CIO Report」によれば、社内の生成AIに対する需要が、最高情報責任者(CIO)やIT専門家に大きなプレッシャーを与えているという。
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LogicalisのグループCIOを務めるToby Alcock氏は、この調査結果はCIOが難しい状況に置かれていることを示していると語った。他の部門は、生成AIによる生産性向上やコスト削減などのメリットについては耳にしていても、新しい技術を取り入れる際の課題については十分に理解してないことがある。
Alcock氏は米ZDNETの取材に対して、「AIや、AIができることに対する期待には誇張も多い」と述べた。「ビジネスサイドの関係者は、生成AIは万能であり、何でもできると考えている。しかし、さまざまなベンダーから出ている製品の中身を見れば、その能力はAIとは何の関係もないことが多い」
CIOがAIに対する社内の需要を適切に管理したいのであれば、事業部門の役員と、以下で説明する5つのポイントについて率直に話し合うべきだ。
1.できることを明確にする
2024年のCIOの最優先課題は、AIをビジネスにきちんと組み込むことだ。Alcock氏によれば、世界のCIO 1000人を対象とした今回の調査に回答したIT担当役員の89%が2024年中に所属組織にAIを導入したいと考えており、85%がAI開発に予算を付けていた。
「調査対象が幅広い市場、業界、顧客に及んでいることを考えれば、回答者の大多数がこの技術に期待を寄せていることは、影響が非常に大きいことを示している」とAlcock氏は言う。「多くのCIOは、AIの最新の流行や技術に積極的に取り組んでいることを証明したがっている」
ただし、Alcock氏は、CIOは需要を適切に管理する必要があると警告を発した。
「成功するためには、AIで得られるチャンスを現実的に評価すべきだ。わが社が顧客と議論をする際には、何ができるかを明確にするように努めている」と同氏は述べた。「誇張された言説は切り捨てて、現実的なビジネスバリューを速やかに提供すべきだ。そして、AIに対するさらなる投資を正当化できるエビデンスを手に入れることが望ましい」
2.AIに関するスキルを養う
CIOはまた、事業部門が生成AIを最大限に活用できるスキルを持てるようにしなければならない。幸いなことに、調査では、IT担当役員の87%がすでにAIを使った業務効率化の流れを確立していることが分かっている。しかしAlcock氏は、AI市場はまだ歴史が浅く、そこで優れた人材を見つけるのは困難だと指摘した。