松岡功の「今週の明言」

日本マイクロソフトに求めたい「生成AIサービスの国内利用社数の公表継続」

松岡功

2024-03-29 10:00

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、日本マイクロソフト 執行役員常務 クラウド&AIソリューション事業本部長の岡嵜禎氏と、PwCグローバルAI・イノベーションテクノロジーリーダー/PwC米国 パートナーのScott Likens氏の「明言」を紹介する。

「Azure OpenAI Serviceはグローバルで5万3000社以上のお客さまに利用されている」
(日本マイクロソフト 執行役員常務 クラウド&AIソリューション事業本部長の岡嵜禎氏)

日本マイクロソフト 執行役員常務 クラウド&AIソリューション事業本部長の岡嵜禎氏
日本マイクロソフト 執行役員常務 クラウド&AIソリューション事業本部長の岡嵜禎氏

 日本マイクロソフトは先頃、国内における生成AIサービスの導入事例について記者説明会を開いた。岡嵜氏の冒頭の発言はその会見で、グローバルでの「Azure OpenAI Service」の利用社数を示し、昨年来、引き続き順調にサービスが拡大していることを強調した。

 会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは岡嵜氏の冒頭の発言に注目したい。

 同氏は冒頭の発言の前に、生成AIのユースケースについて「高度化しつつある」として図1を示し、次のように説明した。

(図1)高度化する生成AIのユースケース(出典:日本マイクロソフトの会見資料)
(図1)高度化する生成AIのユースケース(出典:日本マイクロソフトの会見資料)

 「当初は要約やQ&Aといった形で社内でのチャットボットとしての利用が中心だったが、その後、データドリブンな意思決定、パーソナライゼーション、そして完全なオートメーションへと高度化する動きになってきている」

 Azure OpenAI Serviceは、そうしたユースケースを実現していくためのサービスだ。同氏によると、「テキストや画像、コード生成のための大規模言語モデル(LLM)をセキュアな環境から実行可能なMicrosoftのマネージドサービス」とのことだ。要は、生成AIを活用したアプリケーションを柔軟に作成することができるのが、最大の特徴である。

 このAzure OpenAI Serviceは、Microsoftが競合他社に先駆けて生成AIサービスを展開し、今も利用社数で大きくリードしているとみられるキラーサービスだ。今回の会見でも「グローバルで5万3000社以上のお客さまに利用されている」と胸を張った(図2)。

(図2)Azure OpenAI Serviceの利用社数と主要な顧客の社名(出典:日本マイクロソフトの会見資料)
(図2)Azure OpenAI Serviceの利用社数と主要な顧客の社名(出典:日本マイクロソフトの会見資料)

 この「グローバルで5万3000社以上のお客さま」との発言を「明言」として取り上げたのには、理由がある。実は、同社 代表取締役社長の津坂美樹氏が2023年12月、Azure OpenAI Serviceを利用する国内企業が2300社以上に達し、およそ2カ月で4倍に急増したことを公表した経緯があるからだ。その時の状況については、2023年12月22日掲載の本連載記事「日本マイクロソフトが生成AIサービスの利用社数を公開し続ける理由」をご覧いただきたい。

 だが、それからおよそ3カ月たった今回は、国内ではなくグローバルでの利用社数を公表した。おそらく「5万3000社」がグローバルの生成AIサービス市場でも群を抜く利用社数なのだろうと推測されるが、それよりも現時点での日本での利用社数を公表しなかったのはなぜか、筆者はそちらが気になった。

 生成AIが注目を集めてから1年余りたった今、競合サービスが続々と登場しつつある中で、Azure OpenAI Serviceの国内での勢いは変わらないのか。国内では、現時点で生成AIを利用する企業の割合が2~3割とも目されており、まだまだ潜在需要は大きいとみられる。Microsoftでは各種アプリケーションに生成AIを組み込んだ「Copilot戦略」も本格的に動き出しており、とりわけ圧倒的な商品力を持つ「Microsoft 365 Copilot」の展開に目が行きがちだ。ただ、Azure OpenAI Serviceの勢いはパートナービジネスにも大きな影響を及ぼすだけに、その動向は大いに気になるところだ。津坂氏および岡嵜氏の次なる発言に注目したい。

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