Adobe Summit

生成AIによるコンテンツ大量生成時代--必要なのは「コンテンツサプライチェーン」とアドビ

末岡洋子

2024-03-29 06:00

 どのような業種・業態の企業であっても、デジタルでのプレゼンスがなければ存在しないに等しい――と言っても過言ではないだろう。ウェブサイトやマーケティングキャンペーンなどの素材としてのデジタルコンテンツの重要性は、質と量の両方で高まっている。クリエイティブとマーケティング、両方でソリューションを持つAdobeのメッセージは、「コンテンツサプライチェーンを構築せよ」。それを支える生成AIなどの技術が整い始めているという。

 Adobeは、が3月28日まで米国ラスベガスで開催した年次イベント「Adobe Summit 2024」において、同社が推進する「コンテンツサプライチェーン」を示した。

コンテンツは量も質も課題に

 「将来のオンラインバンキングでは、デジタルのパーソナル担当が、投資、税の管理、住宅ローン、保険などのさまざまなオプションを顧客一人一人に合わせた形で提供し、家計の管理なども支援するだろう。ヘルスケアのアプリでは、デジタルのアドバイザーが健康やウェルネスについてのお勧めをしたり、医師との約束をとったり、顧客が望む成果を得られる製品を探したりしてくれるようになる」――Adobe デジタルエクスペリエンス事業部門担当プレジデントのAnil Chakravarthy氏はこのように予想する。

 アプリ、スマートウォッチ、PC/ウェブ、車など、さまざまな端末、チャネルでそのユーザーに最適なコミュニケーションをリアルタイムに行う。これが、次のレベルのパーソナライズという。

 変化のスピードは速い。このような細かなパーソナライズをタイムリーに行うためには、スケールのある形でパーソナライズを実現しなければならない。競合との差別化や、顧客のロイヤリティー改善につなげるためには、「ミリ秒のレスポンスタイムで、消費者向けビジネスなら数百~数万人に対して、法人向けビジネスでも数百~数千単位で行う必要がある」(Chakravarthy氏)

 それを実現するためには、さまざまな機能や仕組みが必要だが、必要不可欠なのはコンテンツ。それも企業やブランドのイメージに合う画像、テキスト、動画(コンテンツ)を多数用意しなければならない。また、コンテンツは賞味期限が早いことも多く、ストックが難しい。これまではデザイナーを雇うしかなかったが、AIが肩代わりする時代が近づいている。

「Adobe Firefly」 「Adobe Firefly」
※クリックすると拡大画像が見られます

 2023年は生成AIに沸く年となった。テキストだけではない。マーケティングツールスイートの「Adobe Experience Cloud」、クリエイティブスイートの「Adobe Creative Cloud」を展開するAdobeは、2023年の同イベントで、テキストから画像を生成できる「Adobe Firefly」を発表して話題を呼んだ。

 会長兼最高経営責任者(CEO)のShantanu Narayen氏によると、この1年に同ツールを使って生成された画像は65億件に上る。“お試し”から実用へ進めるというのがAdobeの狙いで、今回のSummitでは「Firefly Services」「Custom Models」「Structure Reference」を発表した。

Adobe 会長兼最高経営責任者のShantanu Narayen氏
Adobe 会長兼最高経営責任者のShantanu Narayen氏

 Fireflyは、20以上のAPI、サービス、ツールを持ち、ワークフローやプロセスに組み込むことができる。Custom Modelsは、自社データでファインチューニングができる機能になり、Structure Referenceは、既存の画像の構造をベースに新しい画像を生成する。

 今回のAdobe Summitでは、「Adobe GenStudio」も目玉となった。生成AIファーストのエンドツーエンドのマーケティングアプリで、Creative CloudやExperience Cloudとネイティブに統合されており、マーケティングキャンペーンの立案、作成、管理、アクティベーション、分析までを単一のアプリから行うことができる。このように、技術的にはデジタル画像の生成が驚くほど簡単になる土台が整いつつある。

 だがコンテンツの生成は、コンテンツサプライチェーンの一部に過ぎない。Adobeが考えるという、コンテンツサプライチェーンの構成を見ていく。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]