OpenAIについては、「ChatGPT」や「DALL-E」のような一般ユーザー向けサービスが多くの注目を集める傾向があるが、同社には法人ユーザーのAIツール構築を支援することに重点を置いている事業部門がある。その事業部門の顧客に、新たなツールがもたらされようとしている。
自社のAIツールにOpenAIのAPIを利用している法人ユーザーは、シングルサインオン(SSO)を利用したり多要素認証を採用したりできる機能など、強化されたセキュリティ機能をデフォルトで利用できるようになる。同社が米国時間4月23日付けの公式ブログで発表した。データ転送時には256ビットのAES暗号も利用できるようになり、オープンインターネットにデータが流出する可能性が減るはずだ。
AIツールごとにアクセス可能な人間を企業がもっと容易に管理できる「Projects」機能も新たに加わった。費用を50%も削減する「Batch API」の利用により支出を抑える方法など、新たな費用削減機能により、企業はもっと容易に予算超過を防げるはずだ、と同社は述べている。
23日の発表は、新バージョンの「GPT-4」やテキストから動画を生成できる機能ほど派手ではないが、それでも重要だ。今では世界各国の企業が、OpenAIのツールセットを活用して、社内で利用するものや一般に公開するものなど、さまざまなAIツールを構築している。セキュリティ強化や費用削減を目的とするこうした非常に重要なアップグレードがなければ、そうした企業は他社の製品に目を向けたり、さらに悪いことに、AIプロジェクトを完全に手控える決定を下したりするかもしれない。
セキュリティの向上は、企業や従業員だけでなく、その企業のAIツールを利用するエンドユーザーにとっても特に重要かもしれない。これまでに何度も目にしてきたように、攻撃者は常に、ユーザーデータの窃取やランサムウェア攻撃などを仕掛ける手段を探そうとしている。AIがもっと強力なセキュリティ機能を提供できれば、企業とユーザー双方のデータがより安全になる。
セキュリティ強化と費用削減に加えて、新たな機能により、顧客からこれまでに寄せられてきた要望の一部にも対応する、とOpenAIは述べている。例えば、企業が自社のAIツールに取り込めるファイルの数がこれまでのわずか20から最大1万へと増加する。また、新しいファイル管理機能と、臨機応変に利用状況を管理できる機能により、OpenAIのプラットフォームはさらに利用しやすく、運用費用が安くなるはずだという。
OpenAIの新たなAPI機能はいずれもすでに提供が始まっている。同社は今後について、セキュリティ強化と費用削減の機能をプラットフォームに追加し続ける計画だと述べている。
提供:Anadolu/Getty Images
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。