オフィスで荷物をまとめながら、筆者は「rabbit r1」を使って、ダウンタウンでの会議に行くためのUberを予約することをすでに考えていた。従来のスマートフォンの約半分のサイズで、かっこいい外観のr1は、このような瞬間のために作られた携帯端末だ。
スマートフォンアプリやブラウザーウィンドウでスライドや多数のフィルターをタップしながら進む必要はない。音声で指示を伝えると、r1が専用のAIエージェントに命令して、ユーザーの代わりにタスクを完了してくれるはずだ。例えば、「123 ABC StreetまでのUberを予約してほしい」「Via Ponteでラージサイズのウォッカピザを注文してほしい」「Benson Booneの最新アルバムを再生してほしい」といった指示を伝えることができる。理論上は、このほぼ摩擦のないプロセスにより、ユーザーは時間や労力、多数のクリックを節約できるだろう。あくまでも理論上は。
オフィスから外に出て、r1にUberの予約を指示したとき、筆者は2つのことに気づいた。r1は、筆者が数ブロック離れたパン屋にいると誤解している。筆者が乗車場所の住所を変更しても(音声でしか変更できない)、その新しい住所に更新されることはなかった。また、5分前に充電ケーブルを抜いたばかりなのに、バッテリー残量が94%まで減少していた。筆者はオレンジ色のr1を左のポケットに入れて、右のポケットからスマートフォンを取り出し、Uberアプリを開いた。
誤解のないように言っておくと、r1はLTE接続用のSIMカードスロットを備えてはいるが、スマートフォンに取って代わるものではない。筆者はr1のことを、まだ出社初日のオフィスインターンとみなしたい。あらゆることに長けているわけではないかもしれないが、時間をかけて訓練すれば、大きく花開く可能性を秘めている。r1はいつもウルトラネオンオレンジのシャツを職場に着てくるので、とても目立つ。
r1を2回振ると設定にアクセスできるが、それが機能するのは、ホーム画面から実行した場合だけだ。
提供:Kerry Wan/ZDNET
r1が最初から得意なのは、複雑な質問に迅速に答えることだ。Humaneの700ドルの「Ai Pin」と比べても、明らかに速い。「天気を教えてほしい」といった基本的な質問は問題なく処理できるので、それについては詳しく説明しない。代わりに、「昨日の夜に行われたCelticsとHeatの試合は、どちらが勝ったのか。最も多く得点したのは誰か。フィールドゴールの成功率は何%だったのか」といった質問を立て続けにしてみた。両チームが最後に試合をしたのは1月だというのがr1の最初の答えだったので、知識の範囲が限定されているのかと思ったが、2回目に試したときは、3つの質問すべてに正確な答えを返した。奇妙ではあったが、筆者は感銘を受けた。
場合によっては、AIの応答が顕著に長くなることもある。筆者が長い質問をするせいかもしれない。ほとんどの場合、r1は十分だと思える答えを返した後も、詳細をとりとめもなく話し続けるので、側面のボタンを押して、黙らせる必要がある。
ターミナルモードを有効にすると、r1のUIが横向きに切り替わり、質問を入力するためのキーボードが表示される。
提供:Kerry Wan/ZDNET
r1はマルチモーダルなタスクにも優れており、回転する800万画素カメラでユーザーの周囲(とユーザー自身)を撮影し、視覚データを活用して、質問に答える。筆者はオフィスビルの屋上から、前方の高層ビル群にカメラを向けて、今目の前にあるのは何か、ここは何という都市か、とr1に尋ねてみた。r1は、「私の目の前には、超高層ビルやビルが立ち並んでおり、象徴的なワン・ワールド・トレード・センターも見えます。これはニューヨークシティーのスカイラインで、前景にはハドソン川があります」と答えた。