筆者は通信手段を相手によって以下のように使い分けている。
- 家族や親しい友人の場合は電話。
- それ以外の知人や仕事関係者の場合は電子メール。
- 上記以外はチャット。
このアプローチを聞いて、筆者のことを時代遅れの人間だと思う人もいるかもしれないが、電話の個人的なつながりが気に入っている。電話ができない場合は、電子メールを使うことが多い。電子メールだと、自分の都合の良いときに送信することが可能で、相手に問題なく読んでもらえるという安心感がある。電子メールには、制限がほとんどない。電子メールは、コンピューターの初期の頃から存在しており、筆者がこの世を去った後も、ずっと使われ続けるだろう。
筆者の意見に同意できない人もいるかもしれないので、本記事では、そうした人にも納得してもらえるように、電子メールが今後も絶対になくならない理由を説明したいと思う。
1. 長期的なアーカイブ
チャットベースの通信に関して最もイライラさせられることの1つは、必要な情報を見つけるのが難しいことだ。筆者は、必要な情報のURLを求めてチャットスレッドをスクロールする作業に、思い出したくないほど長い時間を費やしてきた。それは本当にいら立たしい作業だ。スレッドを検索したり、整理したりすることはできない。そうした制限を受け入れるしかない。このアプローチでは、筆者のニーズは決して満たせない。
電子メールの場合は、整理やアーカイブ、検索が可能だ。さらに、過去の通信が受信トレイ(または、使用しているフォルダーの階層)にずっと保存されるため、情報に素早くアクセスできるという安心感もある。必要な情報を求めて、スクロールを繰り返す必要はない。筆者のIMAPアカウントの1つには、10年分のアーカイブがある。もし10年分のチャットスレッドを検索しなければならないとしたら、どうなるか想像してみてほしい。
2. あらゆるところで使用されている
電子メールは、自分と交流のある人々に限定されているのではなく、企業や非営利団体、家族、友人、知人、クライアント、顧客など、世界中のあらゆる場所で使用されている。電子メールを使用して、サポート担当者や隣人、クライアント、地球の裏側にいる人など、あらゆる人と通信することが可能だ。Venngageによると、(2023年時点で)世界中には79億件以上の電子メールアカウントが存在するという。
電子メールは、メーリングリスト(筆者も執筆家として1つのメーリングリストを運営している)、製品のアップデート、ニュースと通知など、さまざまな用途に使用される。広く浸透しているので、近い将来に姿を消すことはないだろう。もし電子メールが突然なくなってしまったらどうなるか、想像できるだろうか。何百万人もの人々が途方に暮れ、通信のためにソーシャルメディアを利用せざるを得なくなるだろう(何ということだ)。
3. 電子メールの要点
筆者が電子メールで気に入っている点の1つは、必要に応じて文字数を調整し、アイデアや考え、感情を伝えられることだ。たった一言の電子メールも、中編小説のような長さの物語も送信できる。そして、その電子メールは問題なく相手に届く。筆者が長文の電子メールを送信した場合、相手は好きな方法でその文章に目を通すことができる。電子メールはデスクトップやアプリ、クライアント、ウェブで読むことが可能だ。必要に応じて、印刷したり、PDFに変換したり、To Doリストに変換したりすることもできる。
電子メールの本文の長さは、重要ではない。時間をかけることをいとわないのであれば、受信者が電子メールを読むのは簡単だ。筆者は過去に何度か、チャットで長文のメッセージを読むことを余儀なくされたことがある。長い段落を読み進めているときに、送信者が別のメッセージを送信したため、スレッドが自動的に移動し、その新しいメッセージが目の前に表示された。そのため、筆者は再び上にスクロールして、スレッド内で閲覧していた部分を見つけ、読み続ける必要があった。こんな退屈な作業を何度も繰り返したいとは思わない。
4. 「いいね!」に煩わされる必要がない
電子メールが素晴らしいのは、アルゴリズムや承認、いいね!、低評価、返信、やりとりなど、ソーシャルメディアを動かすさまざまな要素が存在しないことだ。筆者は、いいね!が存在しないことに安心感を覚える。自分の電子メールが世論によって価値がないと判断され、無視されるのではないか、と心配する必要もない。代わりに、その電子メールは、受信者が目を通すまで受信トレイに残る。筆者の受信トレイにも、すべての電子メールが同じように届く。特定の電子メールを重要とマークしない限り、電子メールはすべて平等である。
5. 柔軟性
筆者は電子メールを読まずに、何日も受信トレイに放置することもある。しかし、ボタンをクリックして、未読メッセージだけを表示させれば、その電子メールを見つけることができる。また、電子メールは自分の都合が良いときに読んだり、返信したりすることが可能だ。電子メールにエンバーゴ(公開禁止期間)が設定されている場合や、誰かがタイムリーな情報を要求している場合を除けば、急ぐ必要はないし、人生を謳歌する人々の海の中に電子メールが埋没してしまうことを心配する必要もない。電子メールをスヌーズして、後からポップアップ表示させることで、忘れるのを防ぐこともできる。一方、チャットは時間に支配されるので、電子メールのような柔軟性はない。
今回の記事では、企業が電子メールを使用し、電子メールに依存していることには言及していない。その事実だけを見ても、電子メールが重要であることは明白である。電子メールが近い将来に姿を消すことはない、という主張に誰もが同意できるはずだ。
提供:Jack Wallen/ZDNET
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。