日本オラクルは5月13日、「Oracle Fusion Data Intelligence」の新しい人工知能(AI)機能を発表した。業務SaaS群「Oracle Fusion Applications」においては、統合基幹業務システム(ERP)、サプライチェーン管理(SCM)、人事・人材管理(HCM)、顧客体験(CX)の領域にAI分析機能が直接統合される。
Oracle Fusion Data Intelligenceは、「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」のサービスである「Oracle Autonomous Database」「OCI Data Lake」「Oracle Analytics Cloud」などを基盤とした、次世代型のデータ分析/AIソリューション。日々の業務レポートにとどまらない分析を提供することで、既存サービスの強化を目指す。
高度な機械学習機能は、財務、サプライチェーン、人事、カスタマーサービスの領域に特化した質問に対するインサイトを提供し、その結果を予測する。同社が管理するデータパイプラインと事前に構築済みの分析モデルは、データが常に最新であることを保証し、堅牢な予測モデルのトレーニングと正確な予測を可能にするとしている。
Oracle Fusion Applicationsに統合される各AI分析機能の詳細は次の通り。
ERP分析:組織全体の業務と財務指標に関するインサイトを提供し、財務チームが意思決定を改善できるようにする。新しいAI機能は、「Oracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning(Oracle Fusion Cloud ERP)」 の利用者が、回収履歴を分析してリスクと支払時期をより的確に予測する。また、ビジネス支出に関するより深いインサイトを得て適切な分類を特定し、支出の異常を自動的に検出しフラグを立てることができる。これらのモデルの1つは、売掛金と未収金の履歴データを活用して売掛金の期間別分析を実施することで、請求書の支払遅延が予測される顧客に警告フラグを設定することができる。また、別の新しいモデルは、ベンダーへの支払遅延リスクを特定でき、割引の最大化とベンダーとの関係強化に役立つ
SCM分析:サプライチェーン担当者が、業務全体と外部市場データからのインサイトを活用し、サプライチェーンを最適化できるようにする。新しいAI機能により、「Oracle Fusion Cloud Supply Chain & Manufacturing(Oracle Fusion Cloud SCM)」の利用者は、確実な納期順守、サプライヤーリスクの削減、在庫管理の最適化、倉庫管理業務の効率化に必要となるアクションを予測できるようになる。事前に構築された分析機能を活用することで、組織はサプライチェーンのさまざまなエリアからのインサイトを結び付け、変化に迅速に対応することができるようになる
HCM分析:人事チームが採用と従業員の定着と成長を改善することで、人材とビジネスニーズの適合率を高める。新しいAI機能は、「Oracle Fusion Cloud Human Capital Management(Oracle Fusion Cloud HCM)」の利用者が必要とされる人材を予測し、スキルギャップを埋めるためのアクションの特定、従業員の多様性の分析、採用までの時間を短縮するための実用的なインサイトの提供を支援する。これらのモデルの1つは、性別、年齢、民族性の違いによる、採用、社内流動性、報酬慣行における隠れた偏見をハイライトする。また、別の新しいモデルは、スキルギャップを自動的に特定し、人員計画の改善を促進する
CX分析:営業担当者が収益を促進し、顧客離れを最小限に抑える適切なオファーにより、効率的に顧客とのエンゲージを高めることができるようになる。新しいAI機能は、「Oracle Fusion Cloud Customer Experience(Oracle Fusion Cloud CX)」の利用者が売り上げをより正確に予測し、最適な価格戦略を特定する。また、顧客離反率を予測し、製品価格と販売戦略に関するデータドリブンの推奨事項を提供するのに役立つ。これらの利用可能なモデルの1つを利用すると、チームが営業、マーケティング、契約、サービス、サブスクリプションのデータに対して単一の事前定義済みかつ拡張可能な分析モデルを活用して収益を包括的に可視化するのに役立つ。さらに、バックオフィスのERPデータを活用することで、分析をさらに拡大できる
さらに、Oracle Fusion Data Intelligenceは、Oracle Fusion Cloud ERPの一部である「Oracle Fusion Accounting Hub」と統合し、新たに事前構築された分析機能を提供する。これにより、顧客は複数の会計システムからの財務データを組み合わせて分析することが可能となり、会計データにまたがって残高や仕訳、補助元帳のトランザクション間の相関関係や不規則性を検出できるようになる。