新入社員の配属が運次第であることを指す「配属ガチャ」が問題になっている。配属ガチャで希望通りに配属されなかった場合、短い期間で会社を辞めていくケースが増えているからだ。そこで、一言もの申したい。配属ガチャではなく、新入社員は全員セールスなどの「顧客対応」から始めてはどうか。
「配属ガチャ」のどこが問題なのか
リクルートが2024年春卒業の学生を対象にした調査(約1300人が回答)で、「もし最初の配属先が希望と異なる場合、希望の仕事に就くまで転職せずに働き続けられる期間」を聞いたところ、「希望の仕事ができるまで就職確定先で勤務し続ける」と回答した割合が39.4%で最も高く、「3年以内」が30.8%、「5年以内」が16.4%、「1年以内」が4.8%と続いた。大別すれば、勤務し続けるとの回答が約4割に対し、5年以内の合計は約5割といった具合だ(図1)。
図1:「もし最初の配属先が希望と異なる場合、希望の仕事に就くまで転職せずに働き続けられる期間」を聞いた際の回答の割合(出典:リクルート 就職みらい研究所「2024年卒 入社後の配属に関する状況-3月卒業時点調査」)
この結果については経年変化が不明だが、配属ガチャが当たり前だった時代は大半が勤務し続けるとの回答ではなかったかと推察される。その意味では、3年以内で見切りをつけるとの回答が3割を超えているのが、今どきの新入社員の意識の変化を最も表していると見て取れそうだ。
さらに配属ガチャが問題視されているのは、1年以内どころか、希望通りに配属されなかった時点で辞めていくケースが増えていることにある。ある程度年数が経ってからの配置転換ならば、さまざまな事情から辞めていくケースもあり得るが、新入社員の配属時にミスマッチで辞めていくケースが増えているのは、やはり配属ガチャが受け入れられなくなってきていると見るべきだ。
改めて、配属ガチャのどこが問題なのか。新入社員にとっては希望する配属先があるにも関わらず、どこへ配属されるか分からないという不安がある。さらにそれで配属された先の仕事に不満が募れば、その後はモチベーションも下がり、我慢するだけになってしまいかねない。にもかかわらず、昔は労働の流動性がほとんどなかったことから転職しづらいところがあったが、今は労働の流動性もだいぶ出てきて次のステップの選択肢も広がっていることから、転職に対する意識はだいぶ変わってきた。この動きそのものは非常に好ましいことだと考える。
ただ、配属ガチャの話題を機に、新入社員の配属について一言もの申したい。それは、新入社員の最初の配属は全員セールスなどの「顧客対応」から始めてはどうか、ということだ。