パナソニックHD、AIモデルの弱点克服で多現場展開を効率化する技術を開発

NO BUDGET

2024-06-06 14:01

 パナソニック ホールディングスは、AIモデルが見落としたデータに着目することで、少ない学習データでも高精度なAIモデルの横展開を可能にする技術を開発した。

 この技術は、画像認識AI開発において、AIモデルが見落としたデータも考慮できるアルゴリズムで構成され、「AIが見落としてしまう可能性(検出不能性)」を考慮した「FNPM(偽陰性予測モジュール)」を統合している。車載カメラのベンチマークデータセットでの評価実験では、新環境データのうちわずか5%の画像にラベル付けするだけで、全データにラベル付けした場合と同等の認識性能を確認したという。

 画像認識AIの現場導入は、個別開発から開発済みモデルの横展開による効率化へとシフトしているが、撮影条件の違いによる認識性能低下が課題だった。通常、認識性能向上には新環境での大量の教師データが必要で、コストと時間がかかる。

 そこで注目されているのが、「アクティブドメイン適応法」で、AIが学習に効果的なデータを選出し、少量のラベル付けで全データにラベル付けした場合と同等の効果を得る手法だ。

今回開発した技術の全体構成図
今回開発した技術の全体構成図

 しかし、この手法では、未検出の物体(偽陰性エラー)の増加が精度低下の要因となることが判明した。そこで、今回開発した技術では、各画像の検出不能性を評価するFNPMを導入し、未検出物体を含むAIモデルにとって「予測結果に自信がない」画像を優先的に選出できるようにした。

検証結果
検証結果

 同社は、この技術をサプライチェーンマネジメント、サーベイランス、車載センシングなどの分野におけるAIモデルの多現場展開に活用していく考えだ。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. セキュリティ

    VPNの欠点を理解し、ハイブリッドインフラを支えるゼロトラストの有効性を確認する

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]