パナソニック ホールディングスは、AIモデルが見落としたデータに着目することで、少ない学習データでも高精度なAIモデルの横展開を可能にする技術を開発した。
この技術は、画像認識AI開発において、AIモデルが見落としたデータも考慮できるアルゴリズムで構成され、「AIが見落としてしまう可能性(検出不能性)」を考慮した「FNPM(偽陰性予測モジュール)」を統合している。車載カメラのベンチマークデータセットでの評価実験では、新環境データのうちわずか5%の画像にラベル付けするだけで、全データにラベル付けした場合と同等の認識性能を確認したという。
画像認識AIの現場導入は、個別開発から開発済みモデルの横展開による効率化へとシフトしているが、撮影条件の違いによる認識性能低下が課題だった。通常、認識性能向上には新環境での大量の教師データが必要で、コストと時間がかかる。
そこで注目されているのが、「アクティブドメイン適応法」で、AIが学習に効果的なデータを選出し、少量のラベル付けで全データにラベル付けした場合と同等の効果を得る手法だ。
今回開発した技術の全体構成図
しかし、この手法では、未検出の物体(偽陰性エラー)の増加が精度低下の要因となることが判明した。そこで、今回開発した技術では、各画像の検出不能性を評価するFNPMを導入し、未検出物体を含むAIモデルにとって「予測結果に自信がない」画像を優先的に選出できるようにした。
検証結果
同社は、この技術をサプライチェーンマネジメント、サーベイランス、車載センシングなどの分野におけるAIモデルの多現場展開に活用していく考えだ。