Oracleは米国時間6月17日、「Oracle Database」のローコードアプリケーション開発環境の最新版となる「Oracle APEX 24.1」をリリースした。新たに生成AI機能の「APEX AI Assistant」を追加し、開発者は自然言語を使ってアプリケーションやクエリーを生成できるようになる。

「Oracle APEX 24.1」の新規機能など
Oracle APEXは、Oracle Databaseや「Oracle Autonomous Database」などのクラウドサービスで利用できる無償のローコード開発環境で、同社によれば現在までに約2100万以上のアプリケーションがOracle APEXで開発され、85万人以上の開発者が利用しているという。

Oracle ソフトウェア開発担当シニア・バイスプレジデントのMichael Hichwa氏
リリース前に行われた日本のメディア向け説明会に登壇したソフトウェア開発担当シニア・バイスプレジデントのMichael Hichwa氏は、「日本でもOracle APEXで開発されたアプリケーションが多数ある。最新版から自然言語を使ってアプリケーションやSQLを生成したり、既存のアプリケーションにウィジェットを追加したりできるようになる。われわれは開発者に強力なツールを提供する」とコメントした。
同氏によれば、APEX AI Assistant機能は日本語もサポートしているといい、AI機能は「Oracle Database 19c」以降で利用できる。また、最新版データベースの「Oracle Database 23ai」に搭載された「Oracle AI Vector Search」もサポートしている。
説明会では同氏が幾つかのデモンストレーションを披露した。例えば、新規にアプリケーションを開発する場合は、スタート画面でAPEX AI Assistantを使った開発環境を指定し、対話ウインドウで開発者が作成したいアプリケーションの内容とクエリーを自然言語で記述すると、対話をしながらAPEX AI Assistantがコードを自動的に生成する。生成されたコードは、ユーザーが目視でチェックするなどして公開することができる。

「APEX AI Assistant」を使った新規アプリの開発画面
また、既存のアプリケーションにエンドユーザー向けのチャットウィジェットを追加する場合では、画面左カラムの項目でAIや組み合わせるLLMなどを指定して、画面右カラムの対話ウインドウで自然言語を記述することで、グラフ表示を交えたチャット機能を容易に組み込める。

APEX AI Assistantで自然言語による対話を通じて生成AI機能を追加できる

APEX AI Assistantで追加した生成AIのチャットウィジェットのサンプル。米国ニューヨーク市の高等学校に関するオープンデータを用いて、エンドユーザーが例えば「日本語科目のある高校を探してほしい」「Empire State Buildingの近くにある高校はどこか?」といった質問と生成AIの回答を利用できる
Oracle APEXの利用は無償(要ユーザー登録)だが、別途APEX AI Assistantで外部の大規模言語モデル(LLM)サービスなどを組み合わせる場合は、外部サービス側の費用が必要になるとしている。