マイクロソフト、セキュリティ上の懸念から「Recall」機能の搭載を延期

Don Reisinger (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 緒方亮 吉武稔夫 (ガリレオ)

2024-06-17 09:40

 議論になっている「Recall」機能について、セキュリティ上の懸念に緊急で対処していたMicrosoftが、改めて予定を撤回した。

 Microsoftは、ブログ記事の米国時間6月13日に公開した更新情報において、「Recall」を6月18日にプレビュー版として「Copilot+ PC」で提供することを取りやめ、まずは「Windows Insider Program」参加者にプレビュー版を提供することを明らかにした。Microsoftは一方で、最終的にはすべてのCopilot+ PCでRecallが利用できるようにするとしている。

 ブログ記事の更新情報では、「Recallは2024年6月18日にプレビュー版をCopilot+ PCで広く提供するのをやめ、まずは向こう数週間以内にWindows Insider Program(WIP)においてプレビュー版を提供する」と述べ、「通常のように、Recallに関するフィードバックをWIPのコミュニティーから受け取ったうえで、近くすべてのCopilot+ PCでRecall(プレビュー版)を提供する予定だ」としている。

 Microsoftは5月、PCとユーザーの関わり方を根本的に変えるものになるとしてRecall機能を発表した。Recallが5秒ごとにPCのスナップショットを作成することで、古いメッセージやブラウザーで閉じてしまったタブなどを、簡単に時間をさかのぼって見つけられるようになる。Microsoftは発表の際、6月18日からすべての新しいCopilot+ PCでRecallを利用できるようにすると語っていた。

 しかし、発表から間もなく、セキュリティ研究者らによって致命的な欠陥が見つかった。「Windows 11」搭載PCはロックされているとデフォルトで暗号化されるが、ロックが解除されていると、ドライブとファイルにユーザーが簡単にアクセスできる。これがRecallにもあてはまり、デバイスとユーザーレベルのアクセス権があれば、Recallのログを解析することで誰もがオーナーの行動を平文で見られることが、研究者らによって明らかになった。

 Microsoftはこうした懸念を受けて、セキュリティコミュニティーからの意見を踏まえ、Recallの保存にオプトインを求める、デバイスのロック解除にオーナーが「Windows Hello」の生体認証機能を用いるようにする、Recallの保存情報を保護する暗号化レイヤーを追加するといった安全策を講じることを明らかにした。

 この時はまだ、こうした安全策を実施したうえで、6月18日にRecallをCopilot+ PCで提供する計画になっていたが、その後、この計画が日程からなくなったようだ。ブログ記事の更新情報は書き方が曖昧なため、Windows Insider Programでの提供が今後数週間のうちのいつなのかさえはっきりしない。

 とにかく、何よりもまずユーザーのセキュリティに関わる判断だとMicrosoftは述べている。

 Microsoftは「Windows Insiderコミュニティーの専門知識を活用して、品質とセキュリティに関するわれわれの高い基準を満たす体験を確保するべく、Recallのリリースモデルの調整を進めている」として、「今回の判断は、すべての顧客に信頼性、安全性、堅牢性を備えた体験を提供するわれわれの約束に基づいており、Copilot+ PCのすべてのユーザーに機能を提供する前に、追加のフィードバックを求めていく」と説明している。

提供:Microsoft
提供:Microsoft

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  3. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. セキュリティ

    最も警戒すべきセキュリティ脅威「ランサムウェア」対策として知っておくべきこと

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]