KDDIと日本航空(JAL)は、5月15日に埼玉県秩父市吉田地区で、1人の操縦者が都内から遠隔でドローン3機を同時運航する実証実験に成功したと発表した。同実験では、レベル3.5の飛行制度のもと、防災用品や食品を配送した。
今回の実証は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する「次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト」(ReAMoプロジェクト)の一環として実施された。レベル3.5の飛行制度では、ドローンの搭載カメラから歩行者を確認するなど一定の条件を満たせば、地上の補助者や立入管理措置が不要となる。
1人の操縦者による3機体同時運航の様子
同実証では、KDDIとKDDIスマートドローンが共同開発した運航管理システムに、JALが航空事業で培った安全運航の知見を組み込み、複数機の同時遠隔操縦を可能にする体制を構築して実施した。
運航管理システムは、複数機体の情報を直感的に表示するユーザーインターフェース(UI)デザインと、視点移動を抑えたレイアウトを採用。ドローンの遠隔操縦に必要な状況把握と判断を支援した。
ドローンの遠隔操縦では、限られた情報から的確な判断が求められる。運航管理システムを通じて機体の運航状況や気象状況をリアルタイムに監視し、必要に応じて手動操作を加えるなど、高度な運航管理が必須である。複数機同時運航では、システムの自動化と情報集約を進めながら、操縦者とシステムの役割分担を明確にした安全管理体制の構築がさらに重要となる。