ネットの意義を追求--イオンネクスト、自社ネットスーパーの現在地を解説

大場みのり (編集部)

2024-07-04 07:00

 イオンネクストは7月3日、ネットスーパー「Green Beans」のサービス提供から1年を迎えるに当たり、2024年度の戦略説明会を開催。AIをはじめとしたテクノロジーを活用し、鮮度の高い商品を効率的に配送するサプライチェーンの仕組みなどを紹介した。

 イオンネクストは、2019年にイオンと提携した英テクノロジー企業Ocado Groupの子会社・Ocado Solutionsと共同で、テクノロジーを活用した購買体験の提供に取り組んでいる。

 Green Beansでは、生鮮食品、冷凍食品、日用品、医薬品、ペット用品、介護用品など、3万点以上の商品を取り扱っている。顧客は7~23時の1時間単位で配送時間を指定でき、当日から14日先までに受け取りたい商品を注文可能だ。

 Green Beansの配送エリアは現在、東京都13区、千葉県5市、神奈川県川崎市。会員数は21万人を突破し、居住地は東京都が6割、千葉県が3割、神奈川県が1割ほどとなっている。都内では総合スーパー(GMS)「イオン」の店舗数が少ない世田谷区や港区、高層マンションが立ち並ぶ湾岸エリアの顧客が多く、属性で見ると30~40代の共働き世帯や50代の割合が高い。

イオンネクスト 代表取締役副社長 兼 イオンネクストデリバリー 代表取締役社長の野澤知広氏
イオンネクスト 代表取締役副社長 兼 イオンネクストデリバリー 代表取締役社長の野澤知広氏

 イオンネクスト 代表取締役副社長 兼 イオンネクストデリバリー 代表取締役社長の野澤知広氏は「イオングループにとって新しいお客さまからのご支持を頂いている」と自信を見せた。

 Green Beansにおける配送業務はイオンネクストデリバリーが一気通貫で担い、サプライチェーン全体の最適化を実現している。同サービスでは、顧客フルフィルメントセンター(CFC)に貨物を集約し、スポーク(拠点)を活用して運搬する配送方式「ハブ&スポーク方式」を採っている。現在は千葉県誉田のCFCでロボットが商品をピッキングし、AIを活用して車両に積む順番や配送ルートを最適化している。

 現在のCFCは誉田のみだが、2026年度には東京都八王子、2027年度には埼玉県久喜宮代にも開設する。久喜宮代CFCの敷地は誉田・八王子の約1.5倍、供給力は誉田の最大2倍で、スーパーマーケット80~100店舗への供給が可能となる。倉庫内の技術革新も進めており、2025年春には誉田CFCにアームロボットを約30台導入し、同ロボットがピッキング作業の半分以上を担う。

導入予定のアームロボット
導入予定のアームロボット

 ラストワンマイルでは、郵便番号別に管理された顧客の住所を基に、AIが1秒間に1400万通りの配送ルートを算出。一般的に運送ドライバーの確保が困難となる中、テクノロジーの活用や独自の検定を通して、サービスの標準化を進めている。

 イオンネクストは2024年度、Green Beansのリピート購入施策を強化しており、リピート顧客の割合は全体の半分以上となっている。顧客が購入する商品のカテゴリーも拡大傾向にあり、バスケット単価の平均はこの半年で15%以上増加している。

 Green Beansでは、特に生鮮食品、冷凍食品、レシピと食材がセットになったミールキットの人気が高い。イオンネクストは今後、商品の販売だけでなく、救急往診などを行う企業・ファストドクターと協業してオンライン診療サービスの提供を予定している。

イオンネクスト 取締役副社長の太田正道氏
イオンネクスト 取締役副社長の太田正道氏

 食品のECでは、消費者が商品を直接手に取ることができないため、生鮮食品などの鮮度や状態に不安があるとされている。これを受けてイオンネクストは、ネット“専用”スーパーとして、温度管理が必要な商品を産地から消費地まで低温状態に保つ物流「コールドチェーン」のもと、「ネットだから新鮮」と顧客に思ってもらえる商品を提供しているという。

 例えば、農産物を対象に1週間鮮度を保証するブランド「鮮度+」を展開しており、2024年夏には畜産物の追加を予定している。加えて、7月3日から食べ頃期間を商品に印字して保証するブランド「食べごろ+」を8品目を対象に提供する。同ブランドでは、商品が顧客のもとに届いた時、食べ頃になるよう逆算して配送する。

説明会会場に展示されていた食べごろ+の対象商品
説明会会場に展示されていた食べごろ+の対象商品

 イオンネクストは、Green Beansの会員数21万人突破を受け、2年目は倍増を予定している。一方、同社の事業は赤字となっているといい、野澤氏はGreen Beansでの取り組みを「先行投資」と位置付けた上で、共働き世帯の増加に伴う需要増を見込むとともに、「実店舗と同じことをやっていてはダメ」と説明した。

 同氏は「今までは『ネットだからできない』という制約のもとネットスーパー事業を展開してきたが、『ネットだからこそできる』ということは非常に多くある。提供する商品の中身を変えていくことで、食を中心としたオンラインビジネスも黒字化できる」と力を込めた。

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