松岡功の一言もの申す

ハードウェアベンダーは製品のエネルギー効率をもっと前面に押し出せ

松岡功

2024-07-11 10:53

 生成AIの普及によって懸念されるのが、そのITインフラとなるデータセンターおよびそこで使用するサーバーやストレージなどのハードウェアの電力消費量拡大だ。グリーントランスフォーメーション(GX)に逆行しかねないこの問題を、私たちは深刻に受け止めるべきだ。問題意識は高まってきているが、本稿ではハードウェアベンダーに製品のエネルギー効率をもっと前面に押し出してアピールすることを訴求したい。

エネルギー効率に向けたPure Storageの取り組み

写真1:ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長の田中良幸氏
写真1:ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長の田中良幸氏

 この問題については何かきっかけがあれば取り上げたいと思っていたところ、大手ストレージベンダーである米Pure Storageの日本法人ピュア・ストレージ・ジャパンがこのほど新ソリューションの発表会見を開いたので、同社 代表取締役社長の田中良幸氏に会見の質疑応答で見解を聞いてみた(写真1)。

 新ソリューションの内容については発表資料をご覧いただくとして、その説明に当たって、田中氏がエネルギー効率について同社の取り組みとユーザー企業の課題認識における調査結果を明らかにしたので、以下に紹介しておこう。

 まず、同社の取り組みについては、「当社は、CO2(二酸化炭素)排出量とエネルギー消費量の削減を可能にするストレージプラットフォームの設計など、サステナビリティーへの取り組みを通じて、世界中のデータセンターにおけるCO2排出量の削減に大きく貢献できると確信している」とのメッセージを発信。図1は同社のストレージ事業の現状をさまざまな実績値で示したものだが、その中には右下に環境へのインパクトも表記されている。

図1:Pure Storageのストレージ事業の現状(出典:ピュア・ストレージ・ジャパンの会見資料)
図1:Pure Storageのストレージ事業の現状(出典:ピュア・ストレージ・ジャパンの会見資料)

 また、ユーザー企業の課題認識における調査結果では、49%が「AIの導入による電力消費・放出熱の増大に対する準備が十分でなかった」、55%が「AI導入後にITインフラのアップグレードが必要になった」、83%が「サステナビリティー目標の達成には、AIプロジェクトに適したITインフラが不可欠」と回答したとして、AIの活用には電力が必要なことが浮き彫りになったという。その上で、「こうしたニーズに対応するのも新ソリューションの目的だ」と、田中氏は述べた(図2)。

図2:ユーザー企業の課題認識における調査結果(出典:ピュア・ストレージ・ジャパンの会見資料)
図2:ユーザー企業の課題認識における調査結果(出典:ピュア・ストレージ・ジャパンの会見資料)

 さらに、新ソリューションではストレージのエネルギー効率もサービスレベル契約(SLA)による保証の対象としている。その意味では、製品のエネルギー効率の重要性を前面に出してアピールしているといえよう。

 そこで、冒頭で述べた問題意識から、会見の質疑応答で「ストレージやサーバーなどのITインフラを担うハードウェアは、これまでコストパフォーマンスばかりが注目され、エネルギー効率はあまり目立たなかったようにも見受けられるが、生成AIの普及で電力消費量の拡大が懸念される中、もっとエネルギー効率を前面に押し出してアピールしていくべきではないか」と聞いてみた。これに対し、田中氏は次のような見解を示した。

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