Cisco SystemsがSplunkを買収するなどオブザーバビリティ(可観測性)の分野が動いている。クラウドのモニタリングサービスベンダーとしてスタートしたDatadogは、オブザーバビリティからセキュリティ、プロダクト分析などを同一のプラットフォームで提供する戦略を着実に進めてきた。同社が6月末に米国ニューヨークで開催した年次イベント「DASH 2024」ではAIを中心とする取り組みを発表。同イベントで共同創業者兼CEO(最高経営責任者)を務めるOlivier Pomel氏に話を聞いた。
--DASHでたくさんの発表がありました。Datadogのユーザーにとって最もインパクトが大きい発表は何でしょうか。
Datadog 共同創業者兼CEOのOlivier Pomel氏
短期的なインパクトで言えば、Kubernetesのオートスケール「Datadog Kubernetes Autoscaling」やプロセスを効率化する「Datadog On-Call」でしょう。
長期的なインパクトでは、AIアプリケーションの構築と運用を支援する「LLM Observability」や「Bits Autonomous Agent」などのAIが関連した製品でしょう。オペレーションやインシデント解決をガイドする機能になります。
--Datadogの領域であるオブサーバビリティ分野のトレンドをどう見ていますか。
この1年は特別な1年でした。2021~2022年はコロナ禍の後でIT業界がどこも活気づいていました。2023年に市場が後退し、コスト削減の波が襲いました。クラウドへの支出を減らしたり最適化したり動きがありました。
2024年は再び活気が戻り、生成AIを使って生産性を高めるという機運が高まっています。しかし、リスクもあります。そのリスクとは、AIへの期待が高過ぎることです。私の考えでは、企業が生成AIによる価値を得るようになるまで少し時間がかかるでしょう。
一般論として、人間は短期的なインパクトを過大に評価し、長期的なインパクトを過小に評価する傾向があります。私は、生成AIが間違いなく高い影響力を持つと見ています。
このような背景の中で、オブザーバビリティ分野の大きなトレンドは、ツールの統合です。この分野が成熟してきたということもありますが、顧客はコストを下げながらより多くの価値を得ようとしていることも一因にあります。複数の異なるツールを使うのではなく、1つのプラットフォームで行いたいというニーズです。私たちのところにも、そのような問い合わせが増えています。