伊藤忠丸紅鉄鋼、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、メタル便の3社は、鉄鋼物流業界の脱炭素化に向けた実証実験を8月1日から開始する。
鉄鋼物流業界では、各企業が自社貨物しか積載しない配送方法が広く利用されてきた。これは「専属便」と呼ばれ、少量の貨物でも1台のトラックが配送しているため、輸送効率と二酸化炭素(CO2)排出量の両面で課題を抱えている。近年、その解決策として、異なる荷主の貨物を同じトラックで配送する「共同配送」や、より環境負荷の小さい鉄道や船舶を利用する「モーダルシフト」に関心が高まっているという。
メタル便は2000年から共同配送サービスを提供している。共同配送は、専属便よりも効率的でCO2排出量も少ないとみられているが、これまで定量的な評価はされていなかった。そこで3社は、メタル便の共同配送サービスにおけるCO2排出量の可視化などに取り組む。実証では、伊藤忠丸紅鉄鋼の脱炭素ソリューション「MIeCO2(ミエコ)」を活用する。
具体的には、共同配送と専属便によるCO2排出量の算定方法を策定し、実際の事例で算定する。その上で、共同配送が鉄鋼物流業界のCO2排出量削減に与える効果を検証する。また、CO2排出量をステークホルダー(利害関係者)に開示する仕組みや、共同配送によるCO2排出量削減分のカーボンクレジット化も検討する。
3社は、実証結果を2024年12月末までに取りまとめる予定。これによって、共同配送によるCO2削減を定量的に示す仕組みを確立し、メタル便の実業務への展開を目指すとしている。
専属便と共同配送のイメージ