「Raspberry Pi 5」のリリースからおよそ1年が経過した。Raspberry Pi 5は、2つのオプションで展開されており、4GBのRAMを搭載した価格60ドルのバージョンと8GBの RAMを搭載した価格80ドルのバージョンだ。
だが、4GBのRAMを誰もが必要とするだろうか。Raspberry Piのエンジニアらはそうは思わなかった。2GBのRAM(ほかのPi 5ユニットと同じ4267MT/秒で動作する32ビットLPDDR4X SDRAMサブシステム)を搭載するバージョンが価格50ドルで登場した。

Raspberry Pi 5 2GB
提供:Raspberry Pi
仕様は次の通りだ。4/8GBバージョンとの違いは、太字で示している。
Raspberry Pi 5 2GBの技術仕様
- 「BCM2712D0」、2.4GHzクアッドコア64ビット「Arm Cortex-A76」CPU、「コスト最適化」されたD0ステッピング
- 2GBのLPDDR4X-4267 SDRAM
- 「VideoCore VII」GPU、「OpenGL ES 3.1」「Vulkan 1.2」をサポート
- デュアル4Kp60 HDMIディスプレイ出力
- 4Kp60 HEVCデコーダー
- デュアルバンド802.11ac Wi-Fi
- Bluetooth 5.0/Bluetooth Low Energy(BLE)
- SDR104モデル対応の高速microSDカードインターフェース
- 2×USB 3.0ポート、5Gbpsの同時動作に対応
- 2×USB 2.0ポート
- ギガビットイーサネット、PoE+サポート(別途PoE+ HAT必要)
- 2×4レーンMIPIカメラ/ディスプレイトランシーバー
- 高速周辺機器用PCIe 2.0 x1インターフェース
- Raspberry Pi標準40ピンGPIOヘッダー
- リアルタイムクロック
- 電源ボタン
RAMの容量削減とともに2GB Pi 5は、BCM2712プロセッサーの「コスト最適化」したD0ステッピングを初めて採用している。これは懸念すべきことのように思えるが、そうではない。これまでのバージョンのBCM2712プロセッサーは、Raspberry Pi 5の動作に必要な全ての機能とロジックに加え、ほかのアプリケーション向けの機能も搭載していた。これらの機能はPi 5のチップ上で無効化されて「ダークシリコン」となっているが、チップダイ上のスペースを占めたままだ。
そのようなダイ上のスペースはコストに換算される。大した額ではないが、ちりも積もれば山となる。
このような不必要なロジックを取り除き、RAMを2GBに減らすことで、価格を10ドルまで下げることができている。
アクセサリーに関して、2GB Pi 5は、メモリー容量がより大きい従来版と同じで、クーラーやケース、HATまで全てで期待通りに機能するはずだ。
では、Raspberry Pi 5ではどれほどのRAMが必要か。
筆者が4GB版と8GB版をテストした限りでは、起動、ウェブブラウザーの立ち上げ、基本的な作業への対処といった一般的な用途でそれほど多くのRAMは必要とされない。しかし、PCと同じで、多くのタブを開く、4Kビデオを実行する、ディアル 4Kp60ディスプレイを操作するといったより要求の厳しいアプリケーションは、RAMに負担がかかり始めるだろう。
そのため、賢く選ぶ必要がある。Pi 5に対する現状のニーズだけでなく、今後数週間、数カ月、数年のうちといった将来において何をしたいかも考慮すべきだ。

Raspberry Pi 5のボードは8、4、2、1GBのRAMに対応しているようだ(これは8GBバージョン)
提供:Adrian Kingsley-Hughes/ZDNET
1GBバージョンのPi 5は発売されるだろうか。Pi 5をよく見ると、8、4、2、1GB向けの抵抗パッドがあるのが分かる。しかし、Raspberry Pi本社によると、同社は現在、「Compute Module 5」の市場投入に注力しているという。
2GBのRaspberry Pi 5は、SparkFunやCanaKitといった公認リセラーで入手できる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。