セールスフォースの「Data Cloud」、データ活用のための「ラストワンマイル」を支援

藤本和彦 (編集部)

2024-09-06 09:30

 セールスフォース・ジャパンは9月5日、同社が提供するデータ基盤「Salesforce Data Cloud」の最新動向について記者説明会を開催した。

 Data Cloudは、同社の顧客関係管理(CRM)サービスとネイティブに連携するデータプラットフォームで、「Salesforce」上の顧客データと他の外部ソースのデータを連携させて、信頼性の高い一元化された情報源を構築することができる。

 製品統括本部 プロダクトマネジメント&マーケティング本部 シニアマネージャーの前野秀彰氏は、データ活用の課題として「全ての従業員が日常にデータから示唆を得られていないのではないか」といい、日常的なデータ活用のための「ラストワンマイル」に焦点を当てたデータ戦略が必要と指摘した。

 Data Cloudを利用することで、CRM内外にあるデータを接続、連携、調和させて統一された顧客プロファイルを作成し、あらゆる顧客接点でスムーズにデータを活用できるようになる。

 また、生成AIモデルにビジネスの文脈を与えるアプローチとして、同社では、指示を実行するために必要なデータをプロンプトに追加するグラウンディングの手法を取っている。業務の中で蓄積してきたCRMデータをAIに活用することで生成の精度を上げられるのが強みとなる。しかし、CRMの外にあるデータも精度の向上には必要となる。企業の中に分散しているCRM外のデータをAIに活用できるようにするにも、Data Cloudが有用であるという。

 Data Cloudは、「Snowflake」や「Google BigQuery」「Amazon Redshift」「Databricks」にあるデータを移動させることなく統合することができる。同社はこれをゼロコピーインテグレーション(Bring Your Own Lake:BYOL)と呼んでいる。これにより、データレイクやデータウェアハウス上のデータをData Cloudに安全に共有し、AIをはじめとするさまざまなユースケースに活用できるとしている。

 非構造化データの対応では、ベクトルデータベースとセマンティック検索の国内提供を開始している。ベクトルデータベースでは、PDF、メール、音声ファイルなどの非構造化データを取り込み、生成AIのプロンプト上で活用できるようになる。そして、セマンティック検索を使用することで、より関連性の高い引用された回答を生成可能になる。

Data Cloudの仕組み
Data Cloudの仕組み

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    ChatGPTに関連する詐欺が大幅に増加、パロアルトの調査結果に見るマルウェアの現状

  2. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  3. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  4. セキュリティ

    いま製造業がランサムウェアに狙われている!その被害の実態と実施すべき対策について知る

  5. セキュリティ

    ランサムウェア攻撃に狙われる医療機関、今すぐ実践すべきセキュリティ対策とは?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]