レッドハット、「Red Hat Enterprise Linux AI」の一般提供を正式に開始

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 緒方亮 吉武稔夫 (ガリレオ)

2024-09-09 10:19

 Red Hatは、「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)AI」の一般提供を正式に開始した。また新しい製品がリリースされたというだけにとどまらず、RHELの管理者とプログラマーが極めて有用だと認めるような、本当に役に立つAIアプローチになっている。

 RHEL AIは、ハイブリッドクラウド環境全体にサーバーをデプロイするための、完全に最適化された起動可能なRHELイメージを提供して、企業規模での導入を簡素化するものだ。最適化された起動可能なランタイムインスタンスが、モデルである「Granite」、ツールパッケージの「InstructLab」と連携する。この中には、最適化されたランタイムライブラリー「Pytorch」のほか、「AMD Instinct MI300X」や、IntelおよびNVIDIAのGPU向けのGPUアクセラレーター、フレームワークの「NVIDIA NeMo」などが含まれる。

 RHEL AIはRed Hatの基盤をなすAIプラットフォームであり、目指しているのは、生成AIモデルの開発、テスト、デプロイの効率化だ。IBM Researchがオープンソースでライセンスする大規模言語モデルファミリーのGranite「LAB」(Large-scale Alignment for chatBots:チャットボットのための大規模アラインメント)メソドロジーに基づくInstructLabのアラインメントツール群、InstructLabプロジェクトによるモデル開発の共同アプローチが、この新しいプラットフォームで融合する。

 IBM Researchが開拓したLABメソドロジーでは、AIや機械学習(ML)のモデルのアラインメントをコストがかさむ手作業なしで実行するため、合成データ生成と多段階のチューニングを活用している。このLABアプローチは、InstructLabコミュニティーによって洗練され、開発者が通常のオープンソースプロジェクトと同じように、LLMに貢献できるようになっている。

 IBMはInstructLabの公開と併せて、Graniteの一部の英語モデルとコードモデルを「Apache」ライセンスで公開し、トレーニングとコミュニティー貢献のために透明性のあるデータセットを提供した。英語モデルの「Granite 7B」はInstructLabに統合されており、ユーザーが共同で機能を改善できる。

 RHEL AIはまた、Red Hatの機械学習運用(MLOps)のプラットフォームである「Red Hat OpenShift AI」にも統合される。これにより、「Kubernetes」の分散クラスターで大規模言語モデルの実装が可能だ。

 RHEL AIは現在、「Amazon Web Services」(AWS)と「IBM Cloud」で「持ち込み(BYO)」サブスクリプションとして利用できる。これから数カ月で、AWS、「Google Cloud Platform」(GCP)、IBM Cloud、「Microsoft Azure」でサービスとして利用できるようになる。

 また、Dell TechnologiesはRHEL AIを「Dell PowerEdge」サーバーと統合するコラボレーションを発表した。NVIDIAのアクセラレーテッドコンピューティングなどの実証されたハードウェアソリューションをRHEL AIに最適化して提供することで、AIのデプロイを簡略化しようというものだ。

Screenshot by Matene
Screenshot by Matene

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  3. セキュリティ

    クラウド資産を守るための最新の施策、クラウドストライクが提示するチェックリスト

  4. セキュリティ

    最も警戒すべきセキュリティ脅威「ランサムウェア」対策として知っておくべきこと

  5. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]