静岡銀行と日立製作所は9月9日、Amazon Web Services(AWS)で静岡銀行の勘定系システムの構築を開始したと発表した。2027年中の本番稼働を予定している。
両者はオープン勘定系システムを共同開発し、2021年1月に本番稼働を開始している。日立がこれをもとにしたオープン勘定系パッケージ「OpenStage」を製品化しており、他行でも採用実績がある。今回の取り組みは、静岡銀行の勘定系システムを同行のプライベートクラウド環境(2017年構築)からAWS環境へ移行するプロジェクトになる。
静岡銀行と日立、AWSは、移行に先駆けてオープン勘定系システムのパブリッククラウド化に向けた技術と効果の検証を行い、実現性を担保できたことから正式に構築を開始した。静岡銀行は、パブリッククラウド化による効果として下記を挙げている。
- データセンター障害時や災害時における業務継続力の向上
- バックアップセンター切替時におけるロストデータ、切替時間の大幅改善
- データセンター安全対策、ウイルス対策、ランサムウェア対策などクラウド先進技術の活用
- 温室効果ガスの排出量削減
- 必要に応じた機動的な機器リソースの追加
- 安定的なハードウェアの調達
- 保守、運用作業の削減
- オンプレミス比でのコスト削減
静岡銀行は、2023年12月に「クラウドファースト」戦略を発表。それまでプライベートクラウド環境経験を生かしてITガバナンス向上やコスト削減に取り組んできたほか、2022年度にデータ分析/活用向けの情報系システム基盤をパブリッククラウドに構築。同行グループが保有する200以上のシステムをパブリッククラウドへ移行している。同行は今後もこの戦略を遂行し、将来的にはデータセンターなくして消費電力の削減を図る方針。また、日立はその他金融機関でのオープン勘定系システムの採用拡大を目指す。
静岡銀行の「クラウドファースト」方針によるロードマップ(2023年12月発表時点)