韓国、水原発--The OpenInfra Foundationと、同財団が推進する「OpenStack」や「Kata Containers」、コンテナーとしての仮想マシン(VM)などのオープンソースプロジェクトは、非常にひっそりと世界を変えている。「OpenInfra Summit Asia」の参加者全員に、そのことがはっきりと分かった。
OpenStackは長きにわたり通信クラウドサービスのトップに立っている。ユーザーの目に触れることはないが、OpenStackによる接続とサービスの管理は、大半のキャリアのスマートフォンで5Gが使用されるたびに行われるほどだ。
しかし、OpenStackは今や通信という枠をはるかに越えて拡大している。クラウドOSへの関心と導入が、この1年間で再び増加した。OpenStackの最高執行責任者(COO)であるMark Collier氏は、インタビューで筆者に次のように語った。「このように関心が大きく再燃したところだ。公の場に出てきて、自分たちがOpenStackで実行していることについて語る人が増えている」
この新たな熱狂の背景には複数の要因がある。
まず、企業が「Amazon Web Services(AWS)」や「Microsoft Azure」「Google Cloud」などのパブリックハイパークラウドから、プライベートクラウドへの乗り換えを進めていることだ。現代自動車のカークラウド担当バイスプレジデントのYounghold Han氏は、インタビューでこう述べている。「当社がOpenStackのプライベートクラウド『hCloud』を使用している理由はいくつかある。1つはデータセキュリティだ。先頃、Azureで重大なセキュリティ障害が発生したことを思い出してほしい。自社のセキュリティは自社で管理したい。最後に、コストの問題がある。私は現代自動車に入社する前にサムスンのモバイル事業部門で働いていた。ユーザー向けに、AWSで実行される複数のサービスを立ち上げたところ、想像もつかないほど急激にコストが増加したため、プライベートクラウドを拡張した」
それによって相当な金額を節約できる可能性がある。Collier氏は次のように述べた。「あるユーザーから、自前のOpenStackクラウドを構築して運用する方が90%安いと言われた。もちろん、誰もがそれほど莫大な金額を節約できるわけではないが、多額のコストを削減できる可能性はある」
プライベートクラウドに移行しているのは、サムスンや現代自動車だけではない。Dellの最高経営責任者(CEO)のMichael Dell氏は、Barclayの「CIO Survey 2024」を引用して、「83%の企業がワークロードをパブリッククラウドからプライベートクラウドに戻す計画だ」と述べた。
Collier氏も同じ意見だ。「この点は、現在みられるOpenStackの大幅な需要拡大と一致している。OpenStackは世界の多数のパブリッククラウドでも利用されているが、プライベートクラウドに目を向けると、フランスの複数の大手銀行、Geico、Walmartなど、多くの企業がOpenStackで標準化している」
もう1つの要因は、BroadcomがVMwareのサービスの料金を引き上げていることだ。クラウド分析企業CloudBoltの調査では、回答者の73%が、Broadcomによる買収が完了したことでVMwareのサービスの料金が100%以上高くなると予想している。その影響はすでに出ており、OpenStackのホワイトペーパーによると、多くの企業がVMwareワークロードの一部をOpenStackベースのアプローチに置き換えることを検討しているという。