皆さんは、以下の文章から何を連想されますか。
これは、最新のメインフレームが実現したシステムの未来であり、クラウドネイティブ時代と新旧の技術を同時に提供し、膨大なアプリケーション資産を生かすメインフレームによるハイブリッドシステム時代の到来を感じさせます。この先の潮流に乗り、時代に合った技術を利用するためには、業務システムに適した方法を選択していかなければなりません。そのためには、業務システムのアプリケーションおよびデータのポータビリティーが最も重要となってきます。しかしながら、その方法には一長一短があり、一筋縄では実現できないのも事実です。
今回は、メインフレームの技術、メインフレームアプリケーションとデータの現状を踏まえ、幾つかの取り組みについてご紹介していきます。
最新メインフレーム(IBM z16)
メインフレーム60年の歩み
メインフレームは、1964年の「System/360」の誕生から60周年を迎え、現在も世界中で利用され、日々膨大なトランザクションやデータを処理しています。筆者らもメインフレーム全盛期に社会人となり、最新技術を覚えながら、大規模プロジェクトの一員として過ごしてきたことを懐かしく思い出します。そして、その当時開発されたアプリケーションプログラムが現在も最新の技術とともに利用できるといった、時代を超えて進化し続ける普遍的なアーキテクチャーと、過去の技術と未来のイノベーションをシームレスに統合する力に改めて驚かされます。
皆さんがメインフレームと聞いて、連想される技術にはどんなものがあるでしょうか。1980年代、メインフレームは企業や政府機関にとって不可欠なシステムでした。その強力な処理能力と高い信頼性により、ビジネスアプリケーションやデータベース管理に広く利用されていました。当時はコンピューターシステムと言えばメインフレームであり、アプリケーション開発と言えば、「COBOL」や「PL/I」といった手続き型の言語を使用して、何百万から何千万ステップとなるような大規模開発が広く行われていました。また、「ADSG」(アプリケーション開発標準化ガイド)といった開発手法が生まれ、システム開発者に加えてプロジェクトマネジメントの重要性が増してきた時代でもありました。
この時代には、メインフレームで幾つかの仮想化技術が確立されており、仮想メモリー(例:Multiple Virtual Storage)に加え、仮想マシン(例:IBM Virtual Machine=IBM VM)が商用マシンとして出荷され、コンピューター技術の最高峰を独走していました。IBM VMは独立したOSでありながら、ホストとゲストになり得るOSであり、1972年に出荷されています。
1990年代には、オープンシステムや分散コンピューティングが台頭し、メインフレームの市場は縮小しましたが、大量のトランザクション処理能力とセキュリティの高さから、特定の業界では引き続き重宝されました。1994年に出荷された並列トランザクションサーバーは、分散処理の根幹となる技術であり、大型機のハードウェアの冷却方式を水冷式から空冷式に転換させた最初のメインフレームとなりました。当時はお客さまのマシンルームに入ると、なぜか広大な空きスペースがあり、以前はその場所に水冷式のメインフレームが設置されていたといった説明を受けることが良くありました。
また、分散システムの台頭に伴い、メインフレームのアプリケーションも開発もプログラミング機能や単体テスト機能をPC側にオフロードし、メインフレームのCPUを削減するようなソリューションも登場しました。