筆者は5年ほど前から、「Fedora Linux」ディストリビューションにかなり夢中になっている。確かに、Fedoraの存在自体はそのずっと前から知っていたが、開発者やオープンソースOSにすでに精通しているユーザーを主なターゲットとするディストリビューションだと長い間思い込んでいた。Fedoraは最先端だったが、障害が発生することも多かった。
それは昔の話だ。現在のFedoraは強力なディストリビューションに生まれ変わっている。高速で、安定性とセキュリティにも優れており、誰でも簡単に使用できる。Fedoraはニッチなディストリビューションから、誰でも生産的に使用できるディストリビューションへと変貌を遂げた。
「Fedora 41」ベータ版のリリースで、Fedoraチームはそのことを改めて実証した。メジャーマイルストン(v30、v40、v50など)ではないにもかかわらず、バージョン41には非常に多くの変更が加えられている。そして、それらすべての変更点の相乗効果で、本当に素晴らしいOSに仕上がっている。
変更点
筆者以外のほとんどのユーザーはあまり興奮しないであろう変更点を最初に紹介しよう。筆者の知る限り、Fedora 41のベータ版は、「GIMP 3.0」の初期バージョンをインストールできる最初のディストリビューションだ。筆者は「GIMP」画像エディターを日常的に使用しているので、このリリースを心待ちにしていた。GIMPの開発プロセスはペースが遅いため、メジャーリリースが近づくと、気持ちが高ぶってくる。最も楽しみにしているGIMP 3の機能については、別の記事ですでに解説済みだ。トップ3は、非破壊編集、フォント処理の改善、新しいレイヤー機能である。GIMP 3をテストしてみたい人は、以下のコマンドでインストールしてほしい。
sudo dnf install gimp -y
Fedora 41でGIMP 3を使ってブックカバーを作成しているところ(提供:Jack Wallen/ZDNET
GIMP 3の追加以外にも、多くのユーザーが歓迎するであろう変更点が多数ある。いくつか紹介しよう。
- 「Python 2」のサポートが終了
- 「セキュアブート」でプロプライエタリーなNVIDIAドライバーをインストールすることが可能に
- 「DNF 5」と「RPM 4.20」
- 新しい「fedora-repoquery」ツール
- 「KDE Plasma Mobile Spin」
- 「LXQt 2.0」
- 「OpenSSL」がデフォルトで「SHA-1」署名を信頼しなくなった
- 「systemd」のサービス強化機能がデフォルトのシステムサービスに追加された
- 「Wayland」のみの「GNOME Workstation」
バージョン41とともにFedoraエコシステムに新たに登場したものは、ほかにもある。新しい「Miracle Spin」だ。これは、新しい「Fedora Miracle」タイル型ウィンドウマネージャーを採用したFedoraのバージョンである。このウィンドウマネージャーは、「Mir」の上に構築されており、「i3」や「sway」のスタイルに非常によく似ている。タイル型ウィンドウの人気が高まっていることを考えると、Fedoraがこのようなスピンをリリースしたことは、全くの偶然ではない。
確かに、ユーザーの目に触れない部分にも多くの変更が施されている。しかし、そうしたことに関心がないユーザーもいる。正直に言って、「Linux」の初心者を興奮させるのは低レベルの変更ではない(FedoraはLinuxコミュニティーの多くの人のお気に入りになっているので、開発元は大規模な変更を加えない方がいいだろう)。Fedora 41では、ユーザーの目に触れるさまざまな要素が洗練されており、一貫性と優れたデザイン、驚異的なパフォーマンスを提供するディストリビューションに仕上がっている。先ほども述べたが、Fedoraは筆者が長年使用してきたさまざまなOSの中で、最も優れたパフォーマンスを提供するものの1つである。