デル・テクノロジーズは9月25日、東京本社内に「Solution Center for AI Innovation Lab」(AI Innovation Lab)を開設した。企業の本格的なAI利用を支援する施設で、活用目的の明確化から概念実証の実施、パートナーらとの共創まで総合的に支援するという。
AI Innovation Labは、東京・大手町の「OTEMACHI ONEタワー」にある同社本社の17階ショールームエリアに設置された。利用は予約制で、企業顧客は営業担当者を通じて申請する。同社では1日当たり数社の顧客の利用を想定している。
同日の開所式に登壇した代表取締役社長の大塚俊彦氏は、日本では従前から機械学習や深層学習などの活用が進んできたとしつつ、独自調査の結果を引用して、直近では生成AIの活用にも乗り出して始めていると説明した。
同社が世界で6600人の企業経営層やIT責任者を対象に実施した調査では、57%が生成AIの戦略立案やユースケース検討、試行などの生成AI実装の初期段階にあった。また、日本独自の調査では、79%が生成AIで自社や業界が変革すると考え、61%が汎用(はんよう)もしくは専用の言語モデルを活用していることも分かった。
こうした状況を踏まえ同社は、「Del AI Factory」という構想を掲げる。大塚氏によれば、ここでは、AIの“原動力”となるデータ、AIの最適利用を支えるインフラ、AIの計画~実装~運用を支援するエキスパートサービス、ユースケースによる成果、AIの本格活用を支援するエコシステムの5つを位置付ける。
AI Innovation Labは、この構想を基に顧客におけるAIの実装やイノベーション推進を担うという。施設は、「実証」「共創」「教育」の3つの機能を備える。実証では、ユースケースに応じたビジネス効果や事例などを紹介するとともに、最新ハードウェアやクラウド連携といったシステムでの概念実証も行える。共創では、同社および各種パートナーと顧客によるAI活用のための共創を実現する。教育では、AIに関するさまざまなスキルの獲得や人材育成、AIを含む基本/先進テクノロジーの獲得といった育成支援を行う。
デルは、東京とシンガポール、米国のニューヨークおよびラウンドロック、アイルランドのリムリックの5カ所に「Innovation Lab」を設置しており、今回の東京施設は初めてAIに特化したという。大塚氏は、世界各地のInnovation Labとも連携して、グローバルの知見を日本の顧客に提供したり、ユースケースなどをグローバルに発信したりしていきたいと述べた。
開所式にゲストで登壇したKDDI 執行役員 コア技術統括本部 ネットワーク開発本部長の佐藤達生氏は、「企業のAI活用の創出だけでなく、AIのための大規模な計算資源にも取り組んでおり、インフラの側面からもAIのイノベーションに貢献したい」とコメント。また、ソフトバンク 執行役員 テクノロジーユニット統括 データ基盤戦略本部長 デジタル社会基盤整備室長の丹波廣寅氏は、「AIは企業からデジタルサービスまで広範に活用されるもの。AIの実装から利用までラボを通じて貢献していきたい」と祝辞を寄せた。