「PostgreSQL Global Development Group」が、最新版の「PostgreSQL 17」をリリースした。「PostgreSQL」は、開発者向け情報共有プラットフォームの「Stack Overflow」で、最も利用率が高いサービスに選ばれた開発者に人気のリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)で、今回のアップデートは、同システムにとって2024年の大きなマイルストーンとなる。このオープンソースRDBMSの最新版には、多くの新しい機能が導入され、パフォーマンスの改善も図られており、企業と開発者の双方にとってトップクラスのデータベースソリューションであるPostgreSQLの地位をさらに強固なものにするアップデートとなっている。
中でも最も待ち望まれていた新機能の1つが、増分バックアップのネイティブ対応だ。これまで、増分バックアップにはサードパーティーのプログラムを使う必要があったが、PostgreSQL 17ではこの機能がサーバーに組み込まれた。これにより、必要なストレージ容量が減り、リカバリーにかかる時間が短縮されるとみられ、完全バックアップにかなりの時間とリソースを必要とするエンタープライズ級のデータベース環境にとっては、特に価値ある新機能と言えるだろう。
また、PostgreSQL 17では「SQL」/「JSON」の機能も大幅に拡張され、「JSON_TABLE()」「JSON_EXISTS()」「JSON_QUERY()」「JSON_VALUE()」といった関数が新たに導入された。これによりSQLの標準規格「SQL:2023」への準拠が進み、開発者にとっては、SQLに調和した手法でJSONドキュメントを扱える強力なツールが手に入ったことになる。
また、サブトランザクションを扱う上で極めて重要なSLRUキャッシュ(Simple LRUキャッシュ)の設定によるサイズ変更が可能になった。この機能を使うと、トランザクション量が大きいアプリケーションも、トランザクションハンドリングの大幅な手直しが必要なくなり、より効率よく実行できる。
そしてついに、論理レプリケーションが改善され、PostgreSQLを使っているデータベース間でデータ複製が可能になった。これまでは、障害の際、スタンバイ中のデータベースを稼働するのに論理レプリケーションを使う場合は、レプリケーションの再同期が必要で、これに多くの時間がかかっていた。今回のリリース以降は、データ管理者はこうした再同期に伴う遅延に対処する必要がなくなる。
PostgreSQL 17は新機能の導入のほかに、いくつかの点でパフォーマンスも強化されている。主なものを以下に挙げる。
- ログ先行書き込み(WAL)ロックのハンドリングの改善。一部のテストでは、同時実行性の高い変更のワークロードにおいてパフォーマンスが最大で2倍にまで向上している。
- B木インデックスと「IN」句を用いたクエリーの最適化。これらはPostgreSQLで標準のインデックスで、これにより実行時間が大幅に短縮される。
- 一部の関数がチップの命令セット「Intel AVX-512」に対応した。
提供:Marco Bottigelli/Getty Images
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。