東芝テックは10月1日、「バリューチェーンの全領域でデータの繋がった世界を目指す」というコンセプトのもと、「ジャイナミクス株式会社」を設立したと発表した。同社は東芝テックの100%子会社で、所在地は東京都港区港南。
近年、小売業界ではデジタル技術を活用した人手不足の解消や廃棄ロスの削減、販売価格の最適化による収益改善などのニーズが高まっているが、これらのニーズに対応するには販売時点情報管理(POS)データに加え、物流や生産など、さまざまなデータを収集・分析する必要がある。しかし、多くのデータを集めて解析するには、時間とコストがかかり、多くのIT技術者も必要となる。
今回設立されたジャイナミクスは、POSデータを中心にほかのデータも統合したデータ活用基盤を構築する。生成AIを活用することでデータ欠損や不足を補い、仮説検証しながら、より質の高いデータを誰もが分析しやすい状態で提供し、経験だけに頼らない店舗のデータドリブンな意思決定を支援する。プロモーション最適化ソリューションの提供や顧客のマーケティング活動の支援も行うことで、小売業をはじめ、業種を拡大して現場の課題解決を目指す。
ジャイナミクス 代表取締役社長に就任した古山浩之氏は「これまで小売業、特に実店舗ではデータの欠損や不足により、データ活用の基盤を整えるために多大なプロセス・時間・コストが必要だった。当社は、生成AIなどの高度技術を扱える技術者と環境を東芝とも連携することで充実させる。リアルリテールでの作業の効率化を図るとともに、限られたデータからでも分析しやすい基盤を整えることで、小売業のより良いサービス創出を支援する」とコメントしている。
「サービスは、欲しい人と提供したい人がつながり、その時、その場所でしか体験できない唯一無二の営みの連続である。ジャイナミクスは、データを賢く活用し、Point of Serviceを提供することで、データをより良いサービスに転換するサービスサイエンス企業を目指す」(古山氏)
社名のGyainamics(ジャイナミクス)は、Gyre(ジャイア:環流、海洋や大気の地球規模の大きな流れ、循環)とAI(最先端のテクノロジー)、Dynamics(ダイナミクス:膨大かつ多様性のあるデータを扱う)という3つの言葉を掛け合わせた造語。小売業の膨大なデータを最新のテクノロジーで変換・活用し、社会により良い潮流を生み出したいという思いを込めている。
ジャイナミクスの事業内容は、AIソリューション・サービスの企画・実行支援、POSデータ活用による購買行動の把握、店舗課題の識別、商品企画などの支援、データサイエンティストによるデータ分析支援、データを戦略的に活用するためのシステム企画、実行支援、既存ITシステムを含む保守/運用/監視サービス。