Workday Rising

AIとUXが一体化--ワークデイの最高製品責任者に聞く、エージェントで製品開発はどう変わるのか

末岡洋子

2024-10-24 06:00

 米Workdayが9月に開催した年次イベント「Workday Rising 2024」では、AIの「Illuminate」が最大のニュースとなった。同社は、AIを加速・支援・変革と3つのカテゴリーで利用し、そのベースがIlluminateになるという。Workday Rising 2024の会場で、最高プロダクト責任者(CPO)を務めるDavid Somers氏に話を聞いた。

米Workday 最高プロダクト責任者のDavid Somers氏
米Workday 最高プロダクト責任者のDavid Somers氏

--Workdayが発表した「Illuminate」について教えてください。

 Illuminateは、これまで「Workday AI」としてきたAI機能の新しいブランドです。名称が変わっただけではなく、われわれのAI戦略の枠組みでもあります。われわれは、AIを「Accelerate(加速)」「Assist(支援)」「Transform(変革)」と3ステップで考えており、Illuminateは3ステップ全体にわたってサポートします。

 2024年のWorkday Risingでは、約50の機能を発表しました。多くは「Accelerate(加速)」のカテゴリーに該当するもので、コンテンツ作成や要約など、生成AIの機能が中心となります。

 「Assist(支援)」のカテゴリーでは、「Workday Assistant」を発表しました。Workday全体に対して、「Co-Pilot」のような機能を提供します。対話型で複雑な作業をナビゲーションしたり、複雑なタスクを実行したりできます。

 「Transform(変革)」のカテゴリーでは、人材採用(リクルーティング)のエージェントを導入します。ここでは2つのポイントがあり、自律的に作業するエージェントを構築するだけでなく、エージェント間を連携するオーケストレーション機能も備えています。採用プロセスでは、採用担当者、採用のマネージャー、候補者などがWorkdayエージェントの対象です。それぞれのエージェントが連携することにより、採用プロセス全体を効率化できます。

 このようなオーケストレーションが採用プロセスに変革をもたらす“魔法”になります。人材採用は日常的に発生する業務ではありません。多くの人にとって年に1~2回しか発生しない業務でしょう。業務時間をそのような慣れないプロセスに充てるより、業務を高速に進めて適切な候補者を探したいはずです。AIは、このような作業を高速に進めてくれるのです。組織は人材獲得する能力を25%高めることができ、25%の時間を節約できます。このように、AIはビジネスプロセスを変革できるのです。さらには、AIを使うほど学習するので効果が大きくなります。

--2024年8月にSalesforceとの提携を発表し、Salesforceの「Einstein」とWorkdayの「Co-pilot」の連携が実現しました。今後このような提携を拡大していくのでしょうか。

 Salesforceとの提携により、Einsteinエージェントを使用する営業担当者は、Workdayからの情報を含むデータにアクセスして、作業を効率化できます。これは、SalesforceのエージェントとWorkdayのエージェントがやりとりをしているからになります。われわれは、Microsoftとも提携しています。

 目指しているのは、ユーザーが作業を行う場所(アプリケーションやサービス)で、スマートなエージェントが自律的にほかのシステムのエージェントと連携できるようにすることです。そのようなメリットがあると思うところとは、今後も提携する可能性はあります。提携で重要なのは、ユーザーにメリットがあるかどうかですし、そのベンダーがどのようなデータを持っているのかになります。

 AIの時代にわれわれベンダーは、もっとオープンになる必要があります。

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