ガートナージャパンは、日本企業の最高情報責任者(CIO)やデジタルビジネス担当エグゼクティブ(ITエグゼクティブ)の87%が、自社の経営陣に対してITの価値を示すことができていないと考えているという分析結果を発表した。
同社は、2024年4月に年商500億円以上の日本企業のCIOとITエグゼクティブを対象とするIT投資ガバナンスに関する調査を行った。この中で、「自社の最高経営責任者(CEO)がIT部門にどのような不満を抱いているのか?」をCIOとITエグゼクティブに尋ねた。
その結果(回答は複数選択、対象回答389件)は、「経営戦略に対して、IT/デジタルを活用した積極的な提案がない」(39%)が最も多く、以下は「ITがビジネスにどのように貢献しているか分からない」(35%)、「経営メンバーが納得するIT/デジタル戦略が描けていない」(28%)、「IT部門の活動が経営/ビジネスにどのように貢献しているか分からない」(26%)、「経営メンバーとのコミュニケーションが少ない」(22%)、「ベンダーとのコミュニケーションの方が多く、ベンダーに影響されている」(18%)、「企業経営・戦略を理解していない」(18%)、「コスト増加に不満を持っている」(14%)、「IT部門の活動内容が分からない(14%)だった。
CIOやITエグゼクティブが思う、「CEOがIT部門に抱いている(と考えられる) 不満」、出典:ガートナージャパン・2024年10月
ガートナーは、最多の「経営戦略に対して、IT/デジタルを活用した積極的な提案がない」(39%)と3番目に多い「経営メンバーが納得するIT/デジタル戦略が描けていない」(28%)について、「重複回答を除いても56%に上り、CIOは経営メンバーにとって価値のあるIT/デジタル戦略を作れていない(と自覚している)ということになる」と指摘する。
さらに、2番目に多い「ITがビジネスにどのように貢献しているか分からない」(35%)と4番目に多い「IT部門の活動が経営/ビジネスにどのように貢献しているか分からない」(26%)については、「重複回答を除いても51%に上り、CIOの半数以上がIT部門の価値を経営に示せていないと考えていることが明らかになった」と解説する。
上位4つのいずれかの回答を選択したCIOとITエグゼクティブは78%に達し、同社 バイス プレジデント アナリストの片山博之氏は、「CEO自身の不満ではなく、CIOやITエグゼクティブがどう考えているかを尋ねたが、CIOやITエグゼクティブの大多数が、IT部門またはIT投資の価値を経営陣に認められていない、あるいは認められていないと自覚していることが分かった。経営上やビジネス上の目的は、ビジネス側のステークホルダー(CxO)ごとに異なり、IT部門の価値またはIT投資の価値を高めるには、CIOが各CxOと密に連携を取りながら、それぞれの目標達成に貢献できるITソリューションを提案・構築し、さらにそれらを効率的に運用する基盤の整備を行う必要がある」と指摘している。