Qualcommは米国時間10月21日、ハワイ州マウイ島で開催の年次イベント「Snapdragon Summit」で最新のモバイルプラットフォーム「Snapdragon 8 Elite」を発表した。第2世代の「Qualcomm Oryon CPU」と「Qualcomm Adreno GPU」「Qualcomm Hexagon NPU」を搭載し、グラフィック性能の向上を強調している。
Snapdragon 8 Eliteチップは、24MBのトータルキャッシュを備え、動作周波数は最大4.32GHzとなっている。シングルコアの処理能力は45%、ウェブブラウジングは62%の向上が図られている。
Qualcomm Technologiesのモバイル端末担当SVP兼GMのChris Patrick氏は声明で「本日、当社の主力モバイルプラットフォームに第2世代のQualcomm Oryon CPUがデビューした。これは大きな飛躍であり、当社のCPUテクノロジーによって実現される新しい体験に消費者がワクワクすることを期待する」と述べた。
注目すべきは、Snapdragon 8 Eliteによって、デバイス上でマルチモーダル生成AIアプリケーションを実行できるようになる点だ。生成AIアプリケーションは高度になるにつれて、テキスト入出力の域を超えて進化している。現在では、写真、ビデオ、音声などのマルチモーダルデータに対応し、よりコンテキストを意識した支援が可能になっている。
「この製品(Snapdragon 8 Elite)は、パーソナライズされたマルチモーダル生成AIをデバイス上で直接提供することで、モバイル体験に革命をもたらし、ユーザーのプライバシーを優先しつつ、音声、文脈、画像の理解を可能にし、生産性から創造性タスクまであらゆるものを向上させる」(Patrick氏)
デバイス上で処理することの利点としては、クラウドへのデータ送信を省くことで遅延が少なくなるため処理速度が速くなること、データがデバイスから離れることがないためセキュリティが向上することなどがある。データセンターで使用されるエネルギーを最小限に抑えられることもメリットの1つである。
同チップセットは、AIリライティングや「Video Magic Eraser」「AI Pet Suite」などの機能により、写真の撮影や編集などのモバイル機能を強化する。また、CPU負荷の高いマルチプレイヤーゲームや全体的なビジュアル性能の向上により、ゲーム機能も強化される。
Qualcommは、同チップセットを搭載するフラッグシップ機種について明らかにしていない。しかし、Snapdragon 8 Eliteがサムスン、ASUS、OnePlus、OPPO、Honor、iQOO、RealMe、Redmi、Xiaomiなどの主要メーカーに採用され、数週間以内に発売される予定であることを明らかにした。
情報開示:筆者のSnapdragon Summitのための渡航費用はQualcommが負担しています。米ZDNETのライターおよび編集者の判断と意見は、取材先企業から常に独立しています。
提供:Kerry Wan/ZDNET
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。