日立製作所と日本オラクルは「Oracle Database」と「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」を活用した生成AIの「協創プロジェクト」を実施し、企業内のあらゆる業務データに基づいて回答する「生成AIエージェント」を開発した。
プロジェクトは、「Oracle Database 23ai」に搭載された生成AI用ベクトル検索機能に着目し、基幹システムへの利用検討を目的としている。その結果、従来のベクトル検索に加え、ユーザーの質問からSQL文を自動生成し、リレーショナルデータベースに格納された情報へSQL検索する機能を開発した。これにより、エージェントAIがユーザーの質問に応じて最適な検索方法を自動選択するため、ユーザーは検索方法を意識せず、容易に情報を得られる。
開発したAIエージェントは、Oracle Database 23aiとOCI上に実装された。従来のRAG(Retrieval-Augmented Generation)のように、非構造データ(テキストデータ)をベクトル検索するだけでなく、表形式などの構造化データに対するSQL検索にも対応している。これにより、業務データベースに格納された多様なデータも活用し、複雑な質問に対しても高い精度で回答を生成することが可能になった。
問い合わせに対する検索手法の選択フロー(上) ユーザーと生成AIエージェントの問い合わせ対応イメージ(下)
このプロジェクトは、若手社員を中心としたチームにより、3カ月で完了した。データサイエンティストとクラウドソリューションエンジニアが協力し、ユースケースの検討から実装までを迅速に進めた。
全国に工場や店舗を展開する家電メーカーの在庫管理をユースケースに、実業務データを用いた検証を実施したところ、Oracle DatabaseとOCIを基盤としたRAG構成による生成AIエージェントを構築できた。複雑な質問にも対応し、82%という高い回答精度を達成したという。