米Boxは、11月12~13日にサンフランシスコで開催した年次カンファレンス「BoxWorks 2024」で、AIの取り組みをさらに拡大し、ワークフロー領域への進出を加速させる戦略を発表した。日本のメディアのグループインタビューに応じた共同創業者 最高経営責任者(CEO)のAaron Levie(アーロン・レヴィ)氏にAIやビジネスの展望などを聞いた。
Box 共同創業者 最高経営責任者のAaron Levie氏
--BoxはAIに注力しています。現在はアプリケーション層の重要性が認識され、AIはそれより下位の層に位置付けられると思いますが、BoxとしてはこれからAIへの注力が重要だと考えているのでしょうか。
まず基本的に、われわれはさまざまな大規模言語モデル(LLM)が存在し、それぞれのLLMが信じられないような勢いを変革している状況を目の当たりにしています。LLMはより高速かつ安価、パワフルなものになり、ますます改善されていくでしょう。モデルの源泉は企業のデータであり、企業はこのデータをLLMに取り込むことを求めています。
Boxは、(2023年に)「Box AI」と呼ぶAIのプラットフォームを構築しました。これは、Boxにあるお客さまのデータをAIのLLMに届けるための仕組みです。このような方法が進化し、お客さまがより多くのユースケースをコンテンツに求めるようになると、Box AIのAI層の価値がさらに強力なものになるでしょう。ここにはお客さまが求めるワークフローやセキュリティ、ガバナンス、APIがあります。つまり、これが私たちBoxのプラットフォーム全体像です。
Boxのプラットフォームの価値は、より大きなものになっていくでしょう。より多くのデータ、より多くのワークフローがあり、AIのモデルが常に改善される世界において、Boxのプラットフォームが非常に強力な存在になっていきます。
--BoxWorks 2024の基調講演では、AIエージェントがワークフローを担う時代の到来を展望しました。それはいつごろ実現すると思いますか。また、実現に当たっての課題は何でしょうか。
間違いなく、すぐに到来します。そこで私たちは、「Box AI Studio」を発表しました。これは、お客さまがAIモデルを活用し、自社のデータと結び付けて、AIエージェントを作成するのを支援します。
お客さまが作成したAIのエージェントは、時間が経つとともにますます強力になり、ひいてはエージェントが自ら行動し、自身のAIモデルを利用して、あらゆるタスクを完了できるようになっていきます。AIエージェントによってワークフローを解決できるようになります。それこそが、私たちBoxがこれから見ようとしている未来でありパワーです。
--日本企業は、まずAIを活用していく初期段階にあり、まだAIエージェントを活用するような段階には至っていません。日本企業がもっと積極的にAIを活用するには、どのようなことが必要だと思いますか。
企業とは、常により良い方法を模索するものです。ワークフローを自動化し、ビジネスプロセスの実行力を強化し、データや情報からより多くの価値を得ようとするはずです。それがAIの本当の力なのです。
私は、企業がAIに対する積極性を無理にでも出すべきだとは思いません。むしろ重要なことは効率化の推進であり、AIは効率化を推進する新しいソリューションです。効率化の推進に意欲的な企業にとって、AIがソリューションになるでしょう。企業は、より速く、より良い決断を下し、より多くのアウトプットを得たいと考えています。AIはその全てに貢献します。