KDDIとKDDIスマートドローンは11月18日、東京電力リニューアブルパワーが運営する葛野川ダム(山梨県大月市) において、Starlinkを活用したauエリア構築ソリューション「Satellite Mobile Link」を使い、自律飛行型ドローンによる遠隔点検実証を実施したと発表した。地震時一次点検の業務を効率化し、作業員の安全を確保する。
今回の実証におけるシステムイメージ
今回の実証では、人に代わり、自律飛行型ドローンがダムから半径約2km圏内を点検飛行し、ダムに異常がないかを、遠隔地からでもリアルタイムに把握できることを確認したとのこと。
KDDIが葛野川ダムの水門上部に、Starlinkと4G LTEアンテナを一体にした架台型のSatellite Mobile Linkを設置し、最小限の設備でダムの堤体から調整池上流部約2kmの範囲まで通信環境を構築。緊急通報を含めた音声電話や、データ通信が可能になったという。
水門上部に設置した「Satellite Mobile Link」
点検飛行に使用したのは、自動充電ポート付きドローンの「G6.0&NEST」とAI搭載自律飛行ドローンの「Skydio X10」の2種類。G6.0&NESTは、飛行から充電までを全て自動で行い、4G LTE通信回線によるインターネット接続により、遠隔地から飛行実行や現地の映像をリアルタイムでも確認が可能。撮影した映像・写真はクラウドに格納するため、ドローンを操作することなくデータを取得できる。
葛野川ダムにおける地震発生後の一次点検は、作業員が現場へ出向く必要があるが、管轄事務所からダムへの移動経路は、道路の陥没や落石などにより安全状況が不明で、人命に関わるリスクが非常に高いとのこと。加えて、ダムでも一定時間内に全ての点検箇所を目視確認して報告をしなければならず、有事においてダムの健全性を迅速に把握することが困難だったという。
ドローンなどの活用も期待されていたが、通信回線の新規引き込みが難しく通信環境の改善ができなかったとのこと。今回、通信不感エリアにSatellite Mobile Linkを設置することで、携帯電話による音声通話やデータ通信の利用、現場の作業員への遠隔支援や緊急時の連絡などに加え、ドローンやロボットを活用した遠隔でのインフラ点検やメンテナンスなどが可能になった。