リコージャパンのデジタルサービス戦略、業務改革やAI、GXなどに注力へ

大河原克行

2024-11-21 12:20

 リコージャパンは11月20日、デジタルサービスに関する事業戦略について説明会を開催した。「DXエコシステム」として、スクラムパッケージやスクラムアセットといったリコー製アプリケーションと、パートナー製アプリケーションの連携強化を図るなど、アプリケーション領域での取り組みを強化する方針を明らかにした。

リコージャパン 取締役 常務執行役員 デジタルサービス企画本部長の宮本裕嗣氏
リコージャパン 取締役 常務執行役員 デジタルサービス企画本部長の宮本裕嗣氏

 説明会に登壇した取締役 常務執行役員 デジタルサービス企画本部長の宮本裕嗣氏は、「新たに『DXエコシステム』を立ち上げることで、リコー製アプリとパートナー製アプリの連携をさらに強化する。アプリ間のデータ連携による自動化を推進し、DXを加速する。人手不足、生産性向上、セキュリティの確保といった中堅・中小企業が抱えている課題を解決することを目指す。お客さまへの提供価値の最大化していく」などと述べた。

 リコージャパンは、アプリケーションサービス事業で2024年度に1000億円以上の事業規模を目指している。DXエコシステムの加速により、目標達成に弾みを付ける考えだ。


 DXエコシステムでは、リコーグループ共通のプラットフォーム「RICOH Smart Integration」(RSI)を活用して、リコー製アプリだけでなくパートナー製アプリとも相互連携できるようにひも付け、アプリ間のデータ連携によって、企業のDXを加速できるとしている。

 「複合機やPCなどのエッジデバイスのほか、給与・会計、販売管理、営業支援、ワークフロー、グループウェア、業種アプリといったさまざまなアプリをさらに効率良く使いたいというニーズに応えられる。リコージャパンが数年前から取り組んでいるトレードエコシステムをDXエコシステムへと進化させ、これまで以上に業務効率化を図り、お客さまの課題にフィットしたソリューションをパートナーと共に提供し、中堅・中小企業のお客さまへのDXを加速する」と述べた。

 その具体的な取り組みの一つが、複数の部門をまたがる手作業を無くすことで実現する業務フローに関するDXエコシステムである。ここでは、サイボウズと共同開発でリコーが提供する「RICOH kintone plus」で作成したデータをパートナーが開発した販売管理アプリと連携させて、請求書を作成。「MakeLeaps」で請求書を発行するといった仕組みを挙げた。リコー製およびパートナー製のアプリ間データ連携により、部門や業務をまたがる手作業を無くし、業務フロー全体を“DXする”という。


 宮本氏が導入事例として紹介したオフィスソリューションズ北九州は、パートナー製アプリの販売管理システムと連携させ、手作業による請求書および納品書発送から脱却。発送の電子化も実現したことで、リモート作業が可能になり、業務時間を約70%削減したという。

 別の取り組みとしては、ITインフラ基盤の強化になる。リコージャパンは、これを「DXエコシステムの目玉」と位置付けており、2024年11月から提供する。IT資産管理を行う「RICOH カンタンIT資産管理サービス」やクラウドセキュリティサービスの「HENNGE One for RICOH」と、パートナー製の各種SaaS、モバイル端末管理(MDM)、ID・パスワード管理、シングルサインオン(SSO)などの機能を連携させる。

 IT資産と従業員をひも付けて管理することで、さまざまなクラウドサービスのセキュリティ対策を強化できるという。なお、このソリューションは、同社内で実施した「デジタルサービス企画コンテスト」を経て商品化し、現場のアイデアから誕生したソリューションの1つだという。

 さらに、具体的な取り組みとしては、人的資本経営とバックオフィスの業務改革もある。タレントマネジメントサービスの「RICOH 人財ポータルサービス」とパートナー製の給与・勤怠管理アプリのデータを連携させて人事情報を一元管理し、バックオフィス全体の業務負荷を低減することができる。7社の基幹システムパートナーとの協業によって実現し、2025年1月にリリースする予定だ。

 宮本氏は、具体的な取り組みの最後に、多様な業種業務のDXとツール活用支援を挙げた。ここではRICOH kintone plusを活用し、顧客自身がノーコードでアプリ開発できるように支援。アプリやプラグイン、テンプレートを提供することで、顧客がアプリの作成や運用を行えるほか、基幹アプリとの連携も促進し、さまざまな業種・業務ごとの課題を企業顧客の社員自らが改善できる。

 リコージャパンの特徴として、全国48支社358拠点の1万8000人の営業、カスタマエンジニア、システムエンジニア、コンタクトセンターの人員により顧客をカバーできる体制を敷くとともに、382社・約150万点のサービスおよびソリューション、商品を取り扱っていることで、これらを組み合わせて同社は時流に沿った提案が可能になる点であることも強調した。

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