情報の活用を促進させた可視化と共有
まず着手した勤怠管理のシステム化と定着化で現場の働き方は変化した。その効果が企業文化の変革にもつながる上で、社内情報ポータルの整備による情報の可視化と共有化も大きな役割を果たしたそうだ。
同社では、紺野氏が入社する以前から社内ポータルツールを導入していた。無償の範囲でスケジュール管理や名刺情報の登録・管理など多くの機能を利用できるものだったが、ほとんど使われていなかったという。
「誰もスケジュールを入れておらず、誰が何をしているのかほとんど分からない状態でした。そこで、きちんとスケジュール入力することをルールとして決め、ツールに情報を入れて共有するということを1年~1年半ほどをかけて定着させていきました」(紺野氏)
当初は名刺管理の機能もほとんど活用されていなかった。ここでは、自社で製造・販売している薪ストーブの営業情報を入力していくことから始めた。そこから社有車の利用や会議室などの施設利用の予約管理などにも広げて、各担当者が業務情報を入力したり、全社的に情報を共有してさまざまに活用したりすることが定着していった。
情報の活用が進むと、以前の社内ポータルツールでは各種機能の使用が有償になり、拡張性にも制約が生じたいう。このため紺野氏は、新たにサイボウズの「kintone」を導入した。 「当社のような規模では、それほど多くのコストをかけることができません。一方で、状況が頻繁に変化する事業の特殊性もありますから自由度の高いツールが必要でした」(紺野氏)
現在では、各種マニュアルなどを電子化してポータルに掲載し、誰でもいつでも確認できるようになったほか、営業の見積もり状況の様子、取引先や顧客の名刺情報の入力と共有、薪ストーブ事業であれば、冬の到来を前に顧客から煙突掃除の依頼が多数寄せられるため、担当者がポータルで1日の訪問予定や訪問先を地図アプリで確認するなど、多様な活用がなされているという。

現場に設置しているデジタルサイネージでは、プロジェクトのスケジュールや共有情報などを表示しており、移動や休憩などの合間に確認しているという
また、現場には大型のデジタルサイネージも設置している。ここでは、各プロジェクトの概要や工程、スケジュール、担当者などの最新情報を常に表示して、一目で状況を分かるようにした。当初は張り紙での掲示を検討したが、変更が発生する度に新しい内容で出力したり、手作業で張り出したりする手間があるため、一気にデジタル化したそうだ。
社内情報ポータルの刷新とデジタルサイネージの導入で、普段の業務にPCなどを使う機会が少ない現場でも最新の情報をすぐ活用できる環境が整っていった。