KDDIは、Celonisのプロセスマイニングソリューションを導入し、購買オペレーションの可視化・効率化を推進している。Celonisが1月21日に発表した。
KDDIのコーポレートシェアード本部 購買・経理プロセス革新部は、全社の購買・経理業務の改革と安定運用を担当し、月間3~5万件の購買伝票を約20人で処理している。繁忙期には件数がさらに増加し、人員増加だけでは対応が難しく、発注処理や変更対応、納期調整など多岐にわたる業務が課題となっていた。
また、ERPシステムの「Oracle E-Business Suite」(Oracle EBS)を導入しているものの、プロセスの詳細な把握が難しく、課題抽出に制約があり、業務改善のアプローチが限定的だった。さらに、購買から経理までの一連の業務が分断されており、特定の工程での遅延や手戻りによるボトルネックが発生しても全体像を把握するのが困難だった。
これらの課題を解決し、データに基づく業務改善と付加価値の高い業務への人材シフトを図るため、同部はプロセスマイニングを導入し、業務の効率化を目指した。
購買・経理プロセス革新部は、業務プロセスの可視化を目指して、以前はPC作業のログを取得するタスクマイニングツールを導入していた。しかし、取得できるデータは作業時間などの定量データに限られ、業務の内容や関連性を十分に把握できず、具体的な改善にはつながらなかった。
これらの課題を解決し、データに基づく業務改善や付加価値の高い業務への人材シフトを実現するため、プロセスマイニングソリューションの「Celonis」に注目した。Oracle EBSとの高い親和性、豊富なダッシュボードテンプレート、標準コネクターの存在が導入の決め手となった。また、社内では次世代自動化開発本部が既にCelonisを導入していたため、データ接続対応などの技術支援を得られたことも大きなメリットとなった。
さらに、オンライン学習ポータル「Celonisアカデミー」による豊富なトレーニングコースや、デジタルバッジによるスキル認定など、充実した教育支援体制も評価された。
2023年7月にCelonisのPoV(Proof of Value)を開始し、購買依頼から納入・検収までのプロセスを2カ月で検証・分析し、報告会を実施した。このPoVにより、業務の実態がデータとして可視化され、特にプロセスを時系列で追跡できる機能が有効だった。また、全体最適化の重要性を体感するため、プロセス可視化ゲーム「セロポリー」を活用し、部門間の視点を広げた。
一方で、以前のタスクマイニングの経験から、「監視されているのでは?」という懸念も現場から上がったが、丁寧なコミュニケーションを重ね、「付加価値の高い業務へのシフト」を目指す方針を共有し、複数回の説明と個別対応により、徐々にプロセスの可視化は「監視ではなく改善」という意識が定着したという。
同部では、可視化で得た知見を基にロボティックプロセスオートメーション(RPA)を活用した業務自動化を進めている。特に発注後の変更(チェンジオーダー)の自動化に取り組んでおり、2024年12月の本格運用開始を目指して開発を進めている。また、プロセス改革のさらなる推進として、監査業務へのCelonisの活用も検討中とのこと。
今後は、購買と経理の業務を一連の流れとして可視化し、前後の工程を含む全体最適化を目指す。これらの取り組みを通じ、KDDIはCelonisを活用したデータドリブンな業務改革をさらに拡大していく予定。