日立ソリューションズ東日本は、日本IBMのAI技術を活用し、コーポレート部門の問い合わせ対応を支援する「AIナレッジソリューション」の提供を開始した。日立ソリューションズ東日本と日本IBMが1月22日に発表した。
同ソリューションは、AIとデータのプラットフォームである「IBM watsonx」を採用し、開発した。全社横断の問い合わせに対応するAIチャットボットプラットフォームとして、過去の事例やナレッジを活用し、回答文章の自動生成と迅速な回答を提供するという。
日立ソリューションズ東日本では、サービス開発の過程において日立グループの社内環境下で検証を行った。約120件のテスト質問を行った結果、全回答案のうち80%程度が業務で利用できる内容と品質であると実証された。加えて、同ソリューションを問い合わせ対応の一次窓口にすることで、対応に要するコストをおよそ80%削減できる見込みであることも確認できた。

ソリューションの概要
同ソリューションは、対話型AIチャットボット、FAQ、ドキュメント検索を組み合わせた構成で、最短1カ月で試行利用できる。専門知識不要で、「Excel」から簡単にFAQデータを入力しチャットボットを作成できる。社内ドキュメントの自動読み込みや、API提供によるイントラネットおよびウェブシステムへの組み込みも可能だ。回答精度の改善やグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)ベースのカスタマイズもでき、学習データの追加による用途・機能拡張ができる。
今回、watsonxの主要コンポーネントの1つである「IBMwatsonx.ai」や、対話型AIソリューションの「watsonx Assistant」、コンテンツ分析ソリューションの「Watson Discovery」が導入された。また、短期間で顧客にサービスを提供することを目指し、サーバレスでソースコードを提供する「IBM Cloud Code Engine」も活用し、構成した。
IBM Cloud Code Engine上でプロンプトをチェーン化し、異なる要件を一括処理することで、複雑な要件にも柔軟に対応することができる。この仕組みにより、過去のFAQデータを指定のExcelフォーマットに入力するだけで、短時間で対話型チャットボットを作成できる。
さらに、多様なデータソースのドキュメントを横断検索するエンタープライズサーチ機能を搭載している。このほか、画像を含む大規模データセット全体にインデックスを付けるベクトルデータベースを使い分けることで、高度な検索を実現し、AIによる回答の品質向上や標準化を図ることができる。
今後は、引き続きコーポレート業務での活用を増やしながら、各業種に特化したユースケースの充実も図る。また2025年4月に業務自動化メニューをリリースする予定だという。