シャープは2月7月、2024年度第3四半期(2024年10~12月)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比7.4%減の5615億円、営業利益は同8.8倍の199億円となり、減収になったものの、営業利益が第2四半期(2024年7~9月)からさらに改善した。

2024年度第3四半期連結業績概要

セグメント別売上高

セグメント別営業利益
シャープ 代表取締役 社長執行役員 兼 最高経営責任者(CEO)の沖津雅浩氏は「第3四半期のブランド事業の売上高は(スマートライフ&エナジー、スマートオフィス 、ユニバーサルネットワークの)全セグメントで増収となり、前年同期を上回った。営業利益については円安によりマイナス影響がある中、全セグメントで増益を達成した。デバイス事業は前年同期33%減の減収になったが、ディスプレイ事業の構造改革を進めた効果があり、営業赤字は大幅に縮小した」と第3四半期を振り返った。
3事業全てで増収増益となったブランド事業では、法人向けプレミアムモバイルモデルが好調に推移したほか、PCの選定・調達・導入・展開・運用・保守・撤去・更新までを請け負う「Life Cycle Management(LCM)」機能を強化した法人向けが大きく伸長したPC事業や、国内の太陽光関連ビジネス「EPC」が成長したエネルギーソリューション事業などがけん引した。

スマートライフ&エナジー

スマートオフィス

ユニバーサルネットワーク
デバイス事業は、スマートフォン向けや大型ディスプレイは減少したが、PCやタブレット向けパネルが伸長したディスプレイデバイスが増収増益、エレクトロニックデバイスは減収減益となったが、2024年に量産を開始した車載用や新製品の受注を獲得した加工用半導体レーザーが大きく売り上げを伸ばしたという。
沖津氏は「ディスプレイデバイスの営業損失は前年同期の197億円から149億円改善し、48億円の赤字となった。売り上げが増加したことに加え、生産能力の最適化など構造改革の効果があり、赤字が大幅に縮小している」と解説した。

ディスプレイデバイス

エレクトロニックデバイス
会見では、2024年度の重点取り組みと位置付けるアセットライト(保有資産の適正化)化についても触れた。「『グリーンフロント堺』(大阪府堺市)の液晶工場と関連施設について、2024年度中の譲渡完了を予定している」(沖津氏)とコメント。当初、KDDI、Super Micro Computer、データセクション、シャープの4社で進めていたAIデータセンターが、12月の基本合意書を締結した時点でシャープとKDDIの2社に変更していることについては、「検討した中で、2社で進めていく事業内容の方が適しているということで、4社から2社に切り替えた。KDDIと弊社で何か協業できることがないかについては引き続き検討している」とした。
また、厳しい市場環境にあるテレビ事業については「国内シェアをなんとか維持し、利益がきちんと確保できる体制で引き続きやっていきたい。そのために付加価値の高い『AQUOS XLED』などの商品を継続的に発売していく。海外については、アジア各地域の生産を担っていたマレーシア工場を縮小し、コモディティーモデルについては数量をたくさん作っているOEM、ODMメーカーのものを活用していく」(沖津氏)と施策を明かした。
2024年度通期の業績予想については、2021年度以来、3年ぶりとなる最終黒字を達成できる見込みとし、最終利益の通期予想は、グリーンフロント堺の土地・建屋のソフトバンクへの譲渡に伴う収益のほか、アセットライト化やディスプレイ事業の構造改革に関連する費用などを合理的に算定することが可能となった時点で公表するとした。

2024年度通期業績予想

(前列右から)シャープ 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの沖津雅浩氏と専務執行役員 CFO 兼 管理統轄本部長の小坂祥夫氏