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産業用AIを大幅強化--IFS モファットCEOが示す2025年の成長戦略

藤本和彦 (編集部)

2025-02-12 07:00

 エンタープライズソフトウェア大手のIFSが好調だ。2024年度の業績(2024年12月31日締め)は過去最高となり、年間経常収益(ARR)は前年比32%増の10億ユーロ超、クラウド収益は前年比38%増となった。

 最高経営責任者(CEO)のMark Moffat氏は「過去7年間、われわれは市場の成長率を3倍上回るペースで一貫して成長してきた」とこれまでを振り返り、同氏がCEOに就任した2024年は「その成長軌道を維持することを確認する年となった」と総括した。

 その一方で、「今後の5年、7年、10年にわたる成長を維持し、さらに多くの多国籍大企業の顧客にIFSを利用してもらうためには、これまでとは異なるレベルのインフラとサポートを構築する必要がある」との認識を示した。また、「規模が大きくなっても、われわれの文化的DNA、つまり顧客第一の姿勢と業界に対する深い知識を失わないようにすることが重要だ」と語った。

 順調な業績の背景について、Moffat氏は「理由は非常にシンプルで、他のエンタープライズソフトウェアベンダーとは違う提案を求める企業にとって、当社は常に魅力的な存在であり続けたからだ」と強調する。

 2024年は、Comcast、Electrify America、E.On、Exelon、HomeServe、Miele、Molson Coors、Modulaire Group、Rolls-Royce Power Systems、Saudi Electricity Company、Sureserve Group、Quanta Services、Vattenfallなど、350社を超える新規顧客を獲得した。より大規模な企業が多くなっており、同社の最大手顧客の平均取引規模が前年同期比で64%増加したことに表れている。

 同社は2024年に設備投資最適化ソフトのCopperleafと、航空メンテナンスソフトのEmpowerMXを買収しており、これが成長の後押しとなったとしている。今後もこれらの分野での大きな成長を見込んでいる。

 2024年10月に開催されたプライベートイベント「IFS Unleashed 2024」で、Moffat氏は「産業用ソフトウェアの分野で圧倒的なリーダーとなり、誰もが認めるナンバーワンのブランドになることだ」と語り、同社の産業用AI機能である「IFS.ai」がその推進剤になるとアピールしていた。

 「現在、当社の研究開発投資の大半は、次世代データプラットフォームやAIオーケストレーションなど、AI機能を顧客に提供するためのインフラ構築に集中している。これによって、AIユースケースを開発しているサードパーティーのイノベーターと協力できるようになる。当社独自のAIだけでなく、市場で入手可能な最良のソリューションを顧客に提供可能になる。

 最新リリースの「IFS Cloud 24R2」では60以上の産業用のAIシナリオが利用可能になったほか、MVP(実用最小限の製品)検証のプロセスでは300以上のシナリオが追加されている。IFSは現在、戦略的パートナーとしてMicrosoftと緊密に連携しているが、今後は主要なAIインフラプレーヤーとのパートナーシップの発表も期待される。

 Moffat氏は2025年の計画について、「産業用AI製品を大幅に強化する」と述べた。また、「新規顧客の獲得を続け、市場の勢いを維持する。さらに、パートナーエコシステムと高成長市場への投資も行う」と続けた。

 日本については「最も成長している市場だ」といい、「ソフトウェア企業として、日本での投資と成長に深くコミットする」と約束した。

IFS CEOのMark Moffat氏(中央)と、アジア・中東地域担当 プレジデントのVincent Carvalho氏(左)、IFSジャパン 代表取締役社長の大熊裕幸(右)
IFS CEOのMark Moffat氏(中央)と、アジア・中東地域担当 プレジデントのVincent Carvalho氏(左)、IFSジャパン 代表取締役社長の大熊裕幸(右)

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