ピッキングと梱包作業を統合--Exotec Nihon、物流倉庫向けシステム「Skypod」を強化

大場みのり (編集部)

2025-02-12 07:00

 仏Exotecの日本法人Exotec Nihonは、物流倉庫向け3次元ピッキングシステム「Skypod」の次世代版の受注を開始したと発表した。

 Skypodはハード/ソフトウェアの統合システムで、ロボットが倉庫内を「前後・左右・上下」に自律走行するのが特徴。ロボットは、商品を2分以内に作業員の元へ運ぶ。次世代Skypodでは、配送工程全体を考慮した「順立て」や、ピッキングと梱包(こんぽう)作業の統合が可能となる。

 倉庫自動化ソリューションを展開するExotecは2015年に創業。創業者で最高経営責任者(CEO)のRomain Moulin(ロマン・ムーラン)氏と最高技術責任者(CTO)のRenaud Heitz(ルノー・ハイツ)氏は2025年1月、「フランス国家功労勲章」を受章した。2022年に日本での営業活動を本格始動し、国内顧客にはファーストリテイリングやヨドバシカメラ、アルプス物流、三井不動産などが名を連ねる。

Exotec Nihon 代表取締役 アジアパシフィック地域社長の立脇竜氏
Exotec Nihon 代表取締役 アジアパシフィック地域社長の立脇竜氏

 同社は、アジア太平洋(APAC)地域の事業戦略として「物流のプロフィットセンター化」の推進支援に取り組んでおり、Exotec Nihon 代表取締役 アジアパシフィック地域社長の立脇竜氏は「物流を効率化することで、ビジネスを伸ばす源泉にしていただく」と説明した。

 立脇氏は日本市場を取り巻く課題として、労働力/輸送力不足のほか、小売業のオムニチャネル化に伴う即日/小口配送の需要拡大、40%以下と低いトラック積載率、環境配慮の高まりなどを挙げた。これらの課題解決を促進するため、ExotecはSkypodの機能を強化した。次世代Skypodの特徴は、以下の通り。

配送工程全体を考慮した順立て機能

 配送ルートや配送先店舗の棚割りなど各種要件を考慮し、出荷箱の順序を最適化する。重い商品から入れるなど商品の性質に基づいて、ピッキング自体を順立てすることも可能だ。

ピッキングと梱包作業の統合

 従来は作業員が商品を注文箱に入れるピッキング業務の後、出荷箱に入れ替える必要があるが、次世代のSkypodでは直接ピッキングできるため、出荷箱への入れ替え業務が不要になる。ロボットが適切なサイズの箱を自動で選定するため、充てん率も向上するという。次世代版は、製かん機や封かん機などのパッケージングソリューションとの親和性が高いといい、これらのソリューションと連携可能だ。

バッファー機能

 ワークステーションでピッキングした梱包前の商品や、梱包済み段ボールなどを出荷準備や荷合わせのタイミングまで一定期間ラック内に保管可能。中間準備を行うステージングエリアやその他の外部バッファーシステムを削減できる。

Skypodの次世代版をExotec Nihonの「東京デモセンター」で披露。作業員が出荷箱に直接ピッキングできる
Skypodの次世代版をExotec Nihonの「東京デモセンター」で披露。作業員が出荷箱に直接ピッキングできる

 立脇氏は「これまでの自動倉庫技術ではシステム内での保管やピッキングに注力していたが、次世代のSkypodシステムでは入庫から出庫までの全段階を一つのシステムでカバーする。店舗配送やEC個配送など、出庫した後の作業の効率化にも貢献する」とアピールした。

 次世代のSkypodは第1世代と比較して、数値的な改善も実現している。ロボットのサイズを小さくするほか、ロボットがラックの下を通る設計にすることで、同じ商品数を保管するのに必要な面積を約30%削減している。加えて、単位面積当たりの入出庫効率は1.2倍から3.4倍に改善。加えて、商品を載せてラックを降りる際のエネルギーを電力に変換することで、エネルギー年間費用を他社の技術と比べて抑えているという。

ロボットがラックを昇降する様子
ロボットがラックを昇降する様子

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