さまざまなLinuxディストリビューションの世界

「Siduction」レビュー--「Windows 10」から移行する人にお薦めの「Linux」ディストロ

Jack Wallen (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2025-02-16 07:00

 今でも多くの人が「Windows 10」を使用しているが、それらのユーザーはまもなく、次の幾つかの選択肢を検討することを余儀なくされるだろう。

  • Microsoftに料金を支払って、サポート終了後も更新プログラムを受け取り続ける(デバイス1台当たりの年額料金は、1年目が61ドル、2年目が122ドル、3年目が244ドル)
  • 「Windows 11」にアップグレードする(新しいOSをサポートするコンピューターを所有している場合)
  • Windows 11をサポートする新しいコンピューターを購入する
  • Appleのデバイスに乗り換える
  • 「Linux」に乗り換える

 上記の選択肢のうち、無料で実行できるのは1つだけである。それはLinuxへの移行だ。Linuxを一度も使用したことがない人は、その選択肢に少し不安を感じるかもしれない。だが、心配は無用だ。

 「Windows」ユーザーがすぐに親しみを覚えるルック&フィールを備えたLinuxディストリビューションが多数存在する。本記事で紹介する「Siduction」もその1つだ。Siductionは、「Debian Sid」をベースとするローリングリリース(つまり、常に最新の状態に保たれる)で、デスクトップ環境には「KDE Plasma」を使用する。

 Siductionの開発チームは、WindowsユーザーがすぐになじめるOSをリリースするという目標を見事に達成してきた。KDE Plasmaの親しみのあるレイアウトは、美しく設定されており、同環境の柔軟な機能が全て含まれている。

 しかし、ユーザーが最も歓迎するのは、Siductionの親しみやすさだろう。初期状態で、Siductionはダークテーマに設定されているが(ダークテーマがなぜこれほど人気なのか)、「Settings」(設定)>「Appearance&Style」(外観とスタイル)>「Colors&Themes」(色とテーマ)の順に進んで、簡単にライトテーマに切り替えることが可能だ。ライトテーマへの切り替えは、筆者が新しいOSをインストールした時に最初に実行することの1つであり、多くの場合、必要な作業だと感じている。

 もちろん、ライトテーマとダークテーマのどちらを選ぶかは個人の自由だ。これはKDE Plasmaの美点の1つである。ユーザーは自分だけのデスクトップ環境を作り上げることができる。ただし、KDE Plasmaは本記事の主役ではない。

提供:Jack Wallen/ZDNET
提供:Jack Wallen/ZDNET

Siductionについて

 この最新リリースのアートワークは、Pink Floydの「シャイン・オン」にインスピレーションを得ている。Siductionは、さまざまなデスクトップ環境(「KDE Plasma 6.2.4.1」「LXQt 2.1.0-1」「Xfce 4.20」「Xorg」「noX」)を採用したバージョンが提供されており、ユーザーはその中から好きなものを選択できる。

 ここまで読んで、「Windows 10をローリングリリースディストリビューションに置き換えるつもりはない」と考えている人もいるはずだ。ほとんどの人は、ローリングリリースディストリビューションが不安定だと思い込んでいるからだ。そういう人たちを安心させるため、ローリングリリースディストリビューションについて説明しておきたい。一般に、ローリングリリースは不安定ではない。ローリングリリースの狙いは、ポイントリリースの必要性をなくすことにある。例えば、使用しているディストリビューションがバージョン10をリリースしたので、それをインストールしたとしよう。数カ月後に10.1へのアップデートがリリースされる。それから数カ月後には10.2へのアップデートを求められるかもしれない。この更新シナリオは、バージョン11が公開されるまで続く。

 ローリングリリースでは、ポイントアップグレードがなくなるため、ユーザーは代わりにバージョン1.0を使用することになり、このバージョンが継続的に更新される。これにより、OSを再インストールする必要がなくなる。基本的に、OSを一度インストールすれば、(理論上は)再度インストールする必要はない。

 これは不安定さを意味するものではない。筆者はローリングリリースディストリビューションを使用してきたが、不安定だと感じたことは一度もない。実際のところ、安定性はかなり高いと感じている。また、OSを再インストールする必要がないため、ローリングリリースではないリリースよりも(幾つかの点で)信頼性が高い。

 新しいLinuxディストリビューションをインストールすると、最初のログイン時に更新の実行を求められることがよくある。ローリングリリースでは、そういうことはめったにない。Siductionをインストールした後、更新をチェックしたところ、完全に最新の状態だった。これはうれしい驚きだった。ほんの数日後には、多数の新しいアプリ更新が表示された。もちろん、筆者はそれらを適用した。

 これはローリングリリースディストリビューションの特徴の1つだ。つまり、標準的なリリースよりも多くのアップデートが提供される。

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