クリックテック、2025年に変革する3つのキーワード--「真正性」の見極め重要に

加納恵 (編集部)

2025-02-21 12:27

 クリックテック・ジャパンは2月19日、2025年のAIとデータ主導のビジネスを形作るトレンドの予測を発表した。今後1年間に変革をもたらすテーマとして、「真正性(Authenticity)」「適用価値(Applied Value)」「エージェント(Agents)」の3点を挙げた。

 今回のトレンド予測は、Qlikのユーザーで構成するエグゼクティブ・アドバイザリー・ボード(EAB)の意見を基に、シニアディレクターであるDan Sommer(ダン・サマー)氏が率いるQlikの市場調査部門が策定したもの。クリックテック・ジャパン カントリーマネージャーの今井浩氏が日本向けに解説した。

クリックテック・ジャパン カントリーマネージャーの今井浩氏
クリックテック・ジャパン カントリーマネージャーの今井浩氏

 Qlikでは、生成AIが主流となる時代において、企業は高まる真正性の危機に対処しなければならないとする。「信ぴょう性のある正確で実用的なデータがAIを成功に導いていた。しかしこの状況は一変し、AI自身が膨大な量のデータを生成し、ウェブサイトで検索しても疑わしい内容が出てくるようになった。企業によってはすでに情報を公開する領域を狭めている」(今井氏)とした。

 今井氏は、真正性を向上するための注目ポイントとして、(1)データ資産の信頼性、(2)データにおける共通言語の必要性、(3)ダークデータの存在価値を引き出す、(4)データとAI のマーケットプレイスは高品質なデータの取引場へ--と4つのトレンドを紹介。

真正性(Authenticity)
真正性(Authenticity)

 中でも3つ目については「ダークデータとは、収集しているものの、積極的に利用や分析がされていない状態にあるデータのこと。カスタマーサポートへのメールやチャットのログファイルなどがそれに当たる。それらのデータは活用されていないことが多く、考察を得る機会を逃している。そのような状態はビジネス上許されない」(同氏)とした。

 適用価値については、AIの導入が拡大するにつれ、より明確な投資利益率(ROI)を求める圧力が高まっているとし、(1)AIアシスタントへの見直しの必要性、(2)AIの継続的な活用には、コスト管理の視点が不可欠、(3)AI設計の最適化にはコンテキストが不可欠、(4)チャットによりデータを引き出す--の4つを注目点として挙げる。

適用価値(Applied Value)
適用価値(Applied Value)

 (1)については、組み込み型かつ拡張型のアナリティクスで構成していく必要があるとした上で、「AIアシスタントは価値を提供するためにもっと精度を上げる必要がある。Qlikは本来の強みである会話型分析などからこれらを実現している」(同氏)と強みを話した。

 (2)については、「持続可能なAIを推進するにはコストのバランスが重要。現在は持続性に疑問を投げかけるような環境にある。解決するには、より小さな分散モデルが多くの作業をする必要がある。」(同氏)とした。

 (3)については、「精度とコンテキストを改善するためのイノベーションが起こっている。まだまだ進化する」(同氏)とコメント。4つ目のチャット関連には「会話型インターフェースが大幅に強化される。もちろんそれが唯一の方法ではないが、データと対話するための支配的な方法になるだろう」とした。

 Qlikは、真正性と適用価値を手に入れれば新たなエージェントシステムの時代が実現できるとし、エージェントについても言及した。挙げたのは、(1)マルチエージェントアーキテクチャーの登場、(2)エージェント時代におけるアプリケーションの再考:購入・構築・インテリジェンス、(3)リアルタイムの重要性、(4)エージェント間の共同作業におけるプロセスインテリジェンスと自動化の重要性--の4つのポイント。

エージェント(Agents)
エージェント(Agents)

 中でも(3)のリアルタイムの重要性については「即時性があれば、ほかのAIに利用されたり、2次加工されたりといった可能性が低減する。これにより信頼性が高まる。特にエージェントの世界では即時性がこれまで以上に重要になる。技術的には、高速なオンライントランザクション処理(OLTP)と呼ばれるイノベーションがどんどん起きてくる」(同氏)と強調した。

 今井氏は「真正性と適用価値をしっかりと実現できれば、本当の意味でのエージェントを構築できる。AIをリアルな価値に変えられる」(同氏)とまとめた。

 日本の事業戦略については、(1)クラウド移行、(2)AI、(3)データマネジメント--の3つをフォーカスエリアに定める。「クラウドベンダーとの協業をより加速する。ただ、オンプレミスに眠っているダークデータもあるので、マルチスクリプトを推進していく。クラウドベースではあるが、ハイブリッドブランドのマルチクラウドにフォーカスしていく」(同氏)と方向性を示す。

日本市場における3つのフォーカスエリア
日本市場における3つのフォーカスエリア

 加えて、営業体制について「アジア・パシフィックに新しいリーダーを迎え、日本法人としても各ファンクションに人員を増強する」(同氏)とコメントした。

 会見では、中国発のAIモデル「Deep Seek」についても触れた。同氏は「注目すべき点は開発費が圧倒的に安くなったこと。これは開発には膨大な投資が必要だったというこれまでの通説を覆した。これまでにもAIが最終的にコモディティー化するとは言われていたが、これほど早く破壊的に起きたことにびっくりした方もいたかもしれない。Deep Seekの成功は、高度なAI開発への参入障壁がかつてないスピードで低下していることを示していると思う」と感想を話した。

重要施策
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