Appleは今後4年間で米国に5000億ドルを投資すると発表した。同社は、2万人の新規雇用を創出し、テキサス州に新たなサーバー工場を建設するなど、米国での製造における役割を拡大する計画だ。これは、米国での事業を拡大するための大きな取り組みであり、貿易関税への対応策であると考えられる。
Apple 最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏は先週、Donald Trump米大統領や各州知事とホワイトハウスで会談した。Trump大統領は会談後、同社が米国に多額の投資を行う可能性について言及していた。そして今回、Appleは正式に投資を発表した。この背景には、米国政府による関税引き上げによる影響を軽減する狙いがあると考えられている。
今回の投資には、テキサス州ヒューストンに新しいサーバー工場を開設する計画が含まれている。2026年に開設予定の25万平方フィートの施設では、今後数年間で成長が見込まれるAppleのクラウドサービスとAI機能(「Apple Intelligence」など)を実行するサーバーが製造される。同社の発表によると、この新工場では「数千人の雇用」が生まれるという。
新しい工場の建設に加え、「US Advanced Manufacturing Fund」を50億ドルから100億ドルに倍増させる。2017年に設立されたこの基金は、「米国全土で世界トップクラスのイノベーションと高度なスキルを持つ製造業の雇用を支援する」ことを目的としている。この拡大の重要な部分には、TSMCのアリゾナ工場からの数十億ドル規模のチップ注文が含まれる。
「われわれは米国のイノベーションの未来を楽観視しており、わが国の未来に対するこの5000億ドル規模のコミットメントによって、長年にわたる米国内投資をさらに発展させられることを誇りに思う」と、Cook氏は声明で述べた。「US Advanced Manufacturing Fundの倍増から、テキサス州での高度な技術開発まで、米国の製造業に対するサポートを拡大できることをうれしく思う」
Appleはまた、米国全体で2万人の新規雇用を予定しており、その多くは研究開発、ソフトウェアエンジニアリング、AI、機械学習に重点を置いている。また、「次世代の米国の製造業者を育成する」ため、「Apple Manufacturing Academy」をデトロイトに開設することを約束した。このアカデミーでは、スマート製造技術やAIなどの新しいスキルを習得したい労働者向けにコンサルティングや無料コースを提供する。
今回の投資は全て、米国の雇用とイノベーションを支援するというAppleの長期的な戦略の一環である。2018年には、第1次Trump政権下で米国に3500億ドルを投資し、2万人の新規雇用を創出するという同様の取り組みを行った。これには、現在も建設中のテキサス州オースティンにある新しいキャンパスの建設がある。
しかしながら、今回の新たな投資は、Appleが世界的な貿易環境における課題に対応している時期に行われたものであり、米国における施設、従業員、製造能力の継続的な拡大を図りながら、これらの問題に対処するための戦略的な動きであると考えられる。

提供:Kevin Carter/Getty Images
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。