東急建設は3月3日、MDIと共同開発した空冷および液冷のサーバーに対応するハイブリッド冷却システム(フリークーリングシステム)の提供を開始すると発表した。従来に比べてエネルギーを約30%削減するとし、次世代データセンターの省エネルギーや脱炭素に貢献するという。
両社は、AI需要などを背景にサーバーが設置されるデータセンターのラックの熱密度が著しく増大していると指摘する。このため、熱交換効率や冷却性能を高めた熱交換器と冷却塔によるフリークーリングを主とする冷却システムを開発。特徴は(1)液・液の熱交換器の熱交換効率向上、(2)液・空気の熱交換効率向上、(3)高効率な冷却塔による冷却性能向上――の3点で、フリークーリング期間を長くすることで。チラー装置の稼働を抑える実証実験を行ったという。

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その結果、従来の冷却塔では一般的なアプローチ温度差が7度、チラー運転日数が年間141日なのに対し、開発した冷却システムではアプローチ温度差が3度、チラー運転日数が年間86日と短く、大幅なエネルギーの削減効果を確認したとしている。この削減効果は、一般的なチラー設備を用いる冷却システムとの比較で70~80%のエネルギー削減、従来型フリークーリングを採用したシステムとの比較では約30%のエネルギー削減になり、PUE値では「1.21」となるとしている。

実証実験での成果(出典:東急建設)
東急建設は、データセンター向け冷却システムに加え、年間空調が求められる産業工場向けや製造エリアごとの暑熱対策としても活用できる新しいフリークーリングシステムを提案していくという。