音声アシスタントは、理解不足や利便性の低さが原因で、この10年間停滞していた。しかし、近年の生成AIの進歩によって変革を遂げ、会話が往復するマルチターンのやりとりや、感情の認識が可能になり、これらの機能をGoogleやAppleなどのテクノロジー大手が自社製品に組み込んでいる。Amazonは「Alexa」のアップグレードが遅れていたが、今回、改良された「Alexa+」を発表した。これにより、同社は競合を大きく引き離す可能性もある。
会話型音声アシスタントという概念を新たな次元に引き上げたAlexa+は、エージェント機能が追加されたことで、競合製品を上回る有用性を獲得し、日常的なタスクをユーザーに代わって実行できるようになった。また、Alexa+の登場により、音声アシスタント技術が一般的なユーザーにとって、Amazonの競合よりも利用しやすいものになっている。
他のAI音声アシスタントを試したことがあり、Alexa+にはあまり魅力を感じないという人のために、その気持ちが変わりそうな利点をいくつか紹介しよう。
1. Alexa製品や「Amazon Prime」との統合
Alexa+の大きな利点の1つは、その体験の全てを既存のデバイスで利用できることだ。つまり、Alexa+が提供するAI体験全体を味わいたいユーザーは、すでに所有しているハードウェアをアップグレードする必要がない。
Alexa対応デバイスのユーザーは、以前からアシスタント機能を求めているため、アップグレードされたアシスタントに興味を持ち、活用する可能性が高い。
Alexa+にシームレスに移行できるよう、Amazonはこの新サービスを「Amazon Prime」サブスクリプション(月額14.99ドル/年額139ドル)に組み込んでいる。Prime会員は他にも、2日以内の無料配送、大規模セールイベントへの参加、「Prime Video」などの特典を利用できる。すでにAmazonのエコシステム内でAmazon PrimeサブスクリプションやAlexa製品を利用している人は、Alexa+を体験するに当たり追加のアクションは必要ない。この点は、市場の大半の競合製品に対する大きな差別化要因だ。
例えば、「Apple Intelligence」の全機能を利用するには、それらの機能をサポートできるチップセットを搭載したデバイスを購入しなければならない。これは、AIを日常生活に取り入れるべきか迷っている人にとって、大きなハードルだ。
ソフトウェアの例には、「ChatGPT」の「Advanced Voice Mode」がある。これはAmazonのAlexaのように、会話のようなマルチターンのチャットができるサービスだが、月額20ドルの「ChatGPT Plus」でしか利用できない。したがって、わざわざChatGPTにアクセスして、追加のサブスクリプションを申し込まなければならない。
Amazonも月額20ドルのAlexa+サブスクリプションを非Prime会員向けに提供しているが、そのようなユーザーはすでに自宅でAlexa対応デバイスをアシスタントとして使用している可能性が高いため、多少ハードルは下がる。