筆者は「Mac Studio」を愛用しているが、もう数年が経過し、複雑な3次元モデルや動画の制作でパワー不足を感じるようになってきた。しかしながら、「M4」チップを搭載して小型かつ強力な「Mac mini」は購入しなかった。前面のSDカードスロットがなかったからだ。
Appleは米国時間3月5日、Mac Studioの新モデルを発表した。端的に言えば、Mac Studioは、プロフェッショナルユーザーが常に待ち望んでいたデスクトップ型の「Mac」といえる。多くのユーザーはノートPCを外部モニターにつなげて使っているが、大容量のメモリーや豊富なポート、強力な処理能力を備えたマシンを求める人も少なくない。
「iMac」は、十分な処理能力とポートを備えていたが、ディスプレーは決して十分な大きさとは思えなかった。2台目のディスプレーを追加するとしても、その大きな本体がスペースを占有していた。
「Mac Pro」は非常に滑稽なものだった。約10年に渡って実用的なタワー型デザインを採用してきたが、その後に刷新されたマシンは拡張性がほとんどなく、非常に高価だった(その外観から一部では「ゴミ箱」などとやゆされた)。それに続いて再設計されたIntelベースのMac Proも非常に高価な妥協の産物だった。
2023年には「M2 Ultra」チップを搭載したMac Proが発表された。これは、実質的により大きなMac Studioといえる。
もう1つの選択肢は、(そして今でも)Mac miniである。筆者はこれまでに少なくとも10台は購入した。価格とパフォーマンスに優れ、ポートの選択肢も豊富にあり、スペースをあまりとらずに幅広い活用方法があったからだ。
Mac Studioが登場したのは2022年になる。高速なプロセッサーや大量のメモリー、豊富なポートを備えていた、筐体の前面にSDカードスロットもあった。そこで筆者は3799ドルを費やし、64GBのメモリーと4TBのストレージを搭載した「M1 Max」ベースのMac Studioを購入した。
しかしながら、この半年ほど不満を感じるようになっていた。

提供:Apple
Mac Studioの2025年モデル
2023年のWWDCで、Appleは「M2 Max/M2 Ultra」ベースのMac Studioを発表したが、価格に見合うほどの性能向上はなかった。当時はまだM1 Maxチップに性能の限界を感じていなかったが、「M3」チップや「M4」チップを搭載するマシンが登場するにつれて、パワー不足を感じるようになっていった。その間も、最新のチップを搭載するMac Studioは発表されなかった。
新型Mac Studioには2つのモデルがある。1つは「M4 Max」チップの搭載モデルで、もう1つはM3 Ultraチップの搭載モデルになる。搭載するチップのほかにもスペックの向上が見られるが、外観や機能性はこれまでのモデルと変わらない。
AppleのUltraシリーズチップは、本質的に2つのチップを1つのパッケージに収めたものである。つまり、M3 Ultraチップは基本的に2つの「M3 Max」チップを組み合わせたものとなる。
どちらのチップが良いかを判断するには、実行したいプロセスとタスクについて検討する必要がある。Appleによると、M4 Max搭載のMac StudioはM1 Max搭載のモデルより最大3.5倍高速だという。しかし、重要なのは、ほかの全ての条件が同じであれば、M4 MaxはM3 Maxよりも高速であることだ。
例えば、1つのチップでうまく動作するプロセスであれば、M4 Maxモデルがより高速に動作するだろう。しかし、(旧世代であっても)2つのチップを組み合わせることで、プロセッサー全体で2倍のメモリーを扱えるようになり、AIなどの並列処理が可能なタスクでは高速化が期待できる。
ただし、それだけで価格が2000ドルも上がることに注意が必要だ。これは、非常に特殊な用途向けの構成としては、かなりの価格上昇となる。価格については、後ほど詳しく触れる。
新型Mac Studioは「Thunderbolt 5」に対応している。2022年と2023年のモデルでは「Thunderbolt 4」をサポートしていた。Thunderbolt 5の転送速度は、Thunderbolt 4よりも約3倍高速になっている。
新型Mac Studioには、4つのThunderbolt 5(USB-C)ポート、2つのUSB 3(USB-A)ポート、1つのHDMI 2.1ポート、そして前面にSDカードスロットが備わっている。「Apple Intelligence」もサポートしている。

提供:Apple